第18話 息子の肌-2
親でも、誉めるところは誉めて、馬鹿にするところは馬鹿にしたりと気さくな感じだった。
見た目は、今流行りの言葉で言うとチャライ感じで、髪は明るめのブラウンに染めて長めに伸ばしており、ピアスなどのアクセサリーを付けていた。
その見た目と、どこか気さくな一面のギャップが異性のウケが良く、付き合いは頻繁だった。
それでも翔太は、根が真面目なところもあり、遊びや一度に複数と付き合う事は決してなかった。
今も、同じ大学に通っている一途な恋人がいた。
「翔太どうする?・・・お風呂湧いてるけど先に入る?・・・・・。」
「どうしようかな・・・・・。夜、友達と約束があるんだけど・・・遅くなるから先に入っちゃおうかな・・・・・。」
「そう・・・だったらアナタのベッドの上に下着が置いてあるから・・・それ取ってきて先に入っちゃいなさいよ・・・・・。」
「分かった・・・そうするよ・・・・・。」
翔太は、玄関でブーツを脱ぐと家に上がった。
そして、二階にある自分の部屋に向かおうとした時だった。
睦美は、すれ違う翔太の着ている、ロングスリーブの開いた胸元に目がいった。
それは、慶と同じく色白の肌で、同じような香水の香りがした。
そう・・・同じような肌・・・同じような匂い・・・同じような・・・・・若い身体・・・・・
『何度も口づけを交わし・・・・・焦らされては溢れ出る蜜・・・・・若い身体に埋もれながら乱れると・・・・・・やがてみなぎりを沈められ・・・・・頂点に向かい激しくなり・・・・・・至福を感じる脈打つ鼓動・・・・・』
睦美は思わず、慶と肌を交わしてい時の事を思い出していた。
そして身近には、同じような歳頃の、息子の翔太がいたのだ。
前日に睦美は、その翔太と歳も変わらない慶と肌を交わしてしまった。
その罪悪感が、急に睦美にも襲い始めていた。
そう、あの忘れらない瞬間が今となっては・・・・・。
『慶君・・・慶君・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・・・・。』
『はあ・・・はあ・・・睦美さん・・・はあ・・・はあ・・・僕・・・僕もう・・・・・。』
『はあ・・・はあ・・・いいのよ・・・遠慮しないで・・・・・。』
『睦美さん!・・・睦美さん!・・・・・睦美さ・・・ん・・・・・・・・睦美さ・・・・・ん・・・・・・・・・・母さ・・・・・ん・・・・・・・・母さ・・・ん・・・・・母さん・・・母さん!・・・』
「母さんってば!!・・・・。」
「あっ!・・・ご・・・ごめんなさい・・・・・。」
「さっきから呼んでるのに、どうしちゃったんだよ?・・・・・。あのさ・・・このパンツ・・・高校の時に履いてた奴だから、ゴムがヨレヨレだよ・・・・・。」
「あっ・・・そ・・・そうね・・・本当にどうかしてたわ・・・・・。すぐに新しいの持ってくるから待ってて・・・・・。」
「母さんどうしたんだよ・・・髪型だけでなく、頭もどうかしちゃったわけ?・・・・・。」
睦美は、心の内を見透かされたようで、翔太の皮肉を返す余裕も無く、まるで逃げるように、クローゼットのある部屋へと向かった・・・・・。