ジュン-6
取り合えず私はカレンとジュンに志田記者のことを警告することにした。
なにやら探っているようなので気をつけてほしいと。
ジュンについては私の方で心の声で伝えることができるが、カレンについては直接交わった足の副脳から発信してもらった。
ただし、詳しい警告内容はできない。
副脳になっている立場からは複雑な情報は伝えることができないからだ。
まして足の副脳の役割は記憶の記号化と整理なので、余分な仕事を頼むことはできないのだ。
歴史編纂事業を担当している者に通信業務を依頼するようなものだからである。
私はこの一週間、気づかないふりをし続けたし、敢えて追跡をまくような真似はしなかった。
ジュンは病院には戻らずに、家族にも誤魔化して自然に治ったと言ってチームにも復帰した。
ジュンの回復を確認した後、私は体内に残っているジュンのエネルギーをお金に換える作業をすることにした。
私が戸籍も何もなく、就職もできないのに生活できるのは、この余分なエネルギーをお金持ちの治療に使うからなのである。
私は早速周波数を合わせて受信体制に入った。