ジュン-2
ジュンの顔には見る見る嫌悪の表情が浮かんだ。
『えっ・・そんな普通の同級生みたいなあなたとセックスって・・それは顔はきれいだし態度も紳士的ですけれど・・・それは嫌ですよ。
それ以外ならなんでもします。
召使か奴隷みたいに体を洗ったりマッサージしたり、食事だって作れます。
あまり上手じゃないけれど・・。』
『私の召使や奴隷にならなくても結構です。
私があなたに要求するのはあなたの命のエネルギーをほんの僅か頂くだけです。
そのエネルギーの半分をあなたの体を治すのに使います。
後の半分が私へのご褒美になります。
エネルギーの正体は、あなたのおなかの中にある卵子です。
一生のうち200個前後作り出すと言われている卵子のうちの1個だけ貰うのです。』
『それじゃあ、セックスが必要ないじゃないですか。
ちょっと痛い手術ですよね。
リーマックスさんの言うことが本当なら、セックスしないでやっていただけませんかそれともついでにセックスもして楽しむのがあなたへのお礼ということなのですか?』
ジュンは私のことを言外に責めるような口調で言った。
私は肩をすくめた。説明を続けるしかなかった。
私には何億回も繰り返した言葉でも、相手には初めてのことだから仕方のないことなのだ。
『はっきり言いましょう。卵子を1個取るときには痛みは全くありません。
でもその代わりにセックスのときに感じるのと似た快楽をあなたは感じてしまうのです。でも、私にはそういう感覚は感じません。
私にとってはセックスでもなんでもない作業なのですから。
むしろ、細い血管が何本か切れて痛みを感じるのは私の方なのです。
そして命の危険に曝されるのも私なのです。
あなたの膣内に私の細い器官や血管を入れるので、あなたが動くたびに千切れたり破れたりして修復しながら作業をするのです。
特にあなたはスポーツをやっていて、体力があるので作業中に激しく動いて、肝心の脳神経まで引きちぎる恐れもあります。
そのときは私は死にます。私は神でも悪魔でもない、リーマックスですから。
死ねば私の体はゼリーのように崩れて、巨大なナメクジの死体のようになります。
もうそうなったら、あなたはいくら泣いても叫んでも私から何かを得ることはできません。』
ジュンは黙り込んだ。私を穴のあくほど見つめていたかと思えば目を逸らして上を向いたり下を見たり、横を見たりして盛んに何やら考えていた。
でもはっきり私に伝えようとする思念でなければ、私には受信できない。
私はじっと待った。すると発信してきた。
『恥ずかしいけれど、具体的にどんなことをするのですか?
覚悟するにも前もって知っておきたいので、教えて下さい。』
私は彼女にイメージを送った。
ジュンが白いワンピースを着て、白いガウンを着た私と向かい合う。
私はベッドを背に床にお尻をつけて足を前に投げ出し、ジュンが私の腰の上に跨って下半身を密着させる。
その後、二人の腰をロープでしっかり結わえて更にベッドにも縛り付けて、体がずれないようにする。やがて、ジュンの体がのけぞって・・
『やめて・・やめて下さい。
まず、どうしてあんな服装をするんですか?
それと向かい合わせならお互い顔が見えて恥ずかしいです。
体を縛るのもなんか先輩から聞いたことのある変態プレーみたいで変です。』
私は近頃の女の子は厄介だと思った。
身も心も捧げてもいいと誓った筈なのにどうしてこうも注文が多いのだろう。
でも、私は辛抱強く説明した。
『どうして白い服をお互い着るのかというのは、神聖な儀式だからです。
この行為によって体が汚れることはないと言う意味もあります。
これは昔の生贄時代の名残だという説もありますが、体を清潔にして行うという意味でも白い服を着ます。
そして私の体の特徴を隠す意味もあります。
人間とは違うので、あなたは見ないほうが良いからです。
ぜひ白い服を用意して下さい。私のは自分で用意しますので。』
ジュンはそれはなんとか納得したようだ。