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リーマックス
【SF 官能小説】

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ジュン-1

ジュンは名前からも外観からも男の子とよく間違えられた。
特に背が高いわけでもなく、顔がごつい訳でもない。
小さいときからサッカーをやっていて、男の子たちと混じっても主要なポジションを取るほどの実力がありながら、美形の少女だった。
けれどもきびきびした口調にアルトの声が少年っぽい印象を与えるので、美少女というよりは美少年のイメージがあった。
きりりとした眉に切れ長の目、短い髪に堅く結んだ口。均整のとれた筋肉質の体が、凛々しさを感じさせて同性からも熱い目で見つめられることもあったほどだ。
そういうジュンが女子サッカーチームのディオサ=ルーチャFCのジュニア・クラスでアタッカーの座を射止めたのはつい最近のことだった。
ところが不幸な事故は間もなく起こった。
いわゆる先輩の胸を借りるというシニアとの練習試合で華々しい活躍を見せたジュンが先制点を取った直後のことだった。
ジュンを強烈にマークしてきた選手がスライディングをしてきてジュンを転倒させたのだ。
結果は右膝の前十字靭帯の断裂だった。
いわゆる選手生命に関わる致命傷である。
ジュンは鏑医院の整形外科病棟に入院した。
だが、何故か手術を強く拒んでいた。



私は人外生物のリーマックス。
その少女の心の声を聞いたのはあのカレンが入院していたのと同じ鏑医院だった。
何故か少女は悪魔ではなく、私の名前を呼んでいた。

『リーマックスさん、聞いてますか?私の体を治して下さい。
週刊科学リサーチに書かれていたことが本当なら、悪魔にでもなんでも祈ります。
だからどうか私の膝を元通りにして下さい。』

私は最初は放っておいたが、その祈りはいつまでも続いた。
そのうち、祈り方が変わって来た。
『畜生!悪魔でもなんでもいいや。俺の脚を直せ!
そしたらお前の欲しい物をくれてやる。悪魔でもいいから!
治してくれるなら誰でも良い!悪魔でも構わない。』

だが、私はまだだ、と思った。そしてじっと待った。
待ったけれど、変化が無かったのでこれまでと思って、この祈りに心を閉じようと思った。
そのとき、すすり泣きが聞こえて来た。

『お願いです。悪魔さん、私の足を治してください。
お礼にどんなことでも言うことを聞きます。本当です。
私の足を治してサッカーができるようになれば、悪魔さんの欲しいものはなんでも差し上げます』
『本当ですか?』

私はようやくその少女とコンタクトを取った。
そして、契約をするかどうか確かめた。
少女は泣きながら契約すると誓った。
この誓いがどんな意味があるかどうか私にはわからない。
けれども誓いがされたなら、会うことができる。
実際に相手の前に姿を現して更に要求することを伝えなければならない。
その少女の名前はジュンと言った。私は面接室まで来るように伝えた。
ジュンは膝を庇いながら歩いて来た。部屋に入り私の姿を見ると意外な顔をした。

『喋ってはいけない。黙って私の前に座って下さい。
あなたは私があなたと大した年が違わないように見えるので驚いているようですね。
でも実際はあなたの何百倍も年をとっています。私は人間ではありません。
でも悪魔でもありません。
あなたが最初に心の声で話しかけたように、リーマックスという者です。
ジュンさんと言いましたね。
私から見れば膝が悪くなって少し不自由になるくらいなら命に別状はないので、悪魔と契約するほどではないと思うのですが、そんなにその足が重要なのですか?』
『重要です。私の命と同じ位に。
どうして、すぐ返事をしてくれなかったのですか?』
『私は悪魔ではありません。
でも悪魔と契約する気持ちで誓ってもらわないと、私の要求を拒まれてしまうことがあるからです。
最初に確かめます。あなたは処女ですか?』
『処女?処女って男の人とあれをしていないってこと?
そんなこと答えなければならないのですか?』
『ほら、さっそくもう拒否していますね。
悪魔に身を捧げても良いと言ったあなたがそんな簡単な質問も拒むのですか?
さては、もう処女ではないのですね?』

これにはジュンは憤然として睨み返した。

『誰が?処女じゃないって・・。そんなこと言ってません。
処女です。当たり前じゃないですか。
男の子にキャーキャー言う女の子がいるけどそういうのが嫌ですから。
だから、そんなことなんか考えたこともないし、もちろんやってません。』
『処女だということで、最初の関門は突破しました。
実は処女でなければあなたの願いは叶えてあげられないのです。
でも今の言葉で新たな関門が生まれました。よく私を見て下さい。
私は若い男の子に見えますが、もしこんな男の子とセックスすると言われたらあなたは絶対嫌ですか?
それとも、体を治す為には仕方ないと我慢できますか?』

私は慎重に、そんな質問をした。
 


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