優羽の気持ち...舞姫の思い...-4
[優羽....私なんかを好きになってくれてありがとう....ゴメンね....今は....優羽の気持ちに応える事は出来ません....後で....「どうして....好きになってはいけないの?」という優羽の問いへの私なりの答えを送ります....でも....一つ約束して下さい....そのメールは直ぐに開かないで下さい....今のまま気持ちが変わらなくて....今の問いに優羽なりの答えが出た時か....どれだけ考えてても答えが見つけられなかった時に....開いて下さい....それから......もし....誰か好きな人が出来た時は....開かないで削除して下さい......オヤスミ....優羽....]
優羽は舞姫のメールを読みながら再び泣いた....舞姫に聞かれていた....その事を知っても....告った事の後悔はなかった....むしろ安堵感のようなものがあった....これで終わりの無い片思いに終止符をうてるかもしれない....舞姫の事を忘れられるかもしれない....そう思えた....
朝....起きて下に行くと両親は出かけた後だった....舞姫はいつもと変わらない笑顔を優羽に見せてくれた....
「おはよう!優羽!」
「おはよう!姉さん!」
優羽は気恥ずかしさを感じながらも....少しぎこちない笑顔を見せた....
「明日から仕事か.....」
ふと舞姫が呟いた。
「どうしたの?イヤな仕事なの?」
舞姫はこの春地元の大学を卒業して、地元の小さい企業に就職した。内定をもらった時
「やりたい仕事と違うけど...贅沢な事言っていられないよね!」
って笑っていた事を優羽は覚えていたのだった....
「そうじゃないの...ちょっと不安なだけ....」
そう言って笑った。それから携帯を手にして
「昨日の夜...約束したメール....今から送るね!」
「う...うん....」
優羽は少し緊張しながら携帯を手にした....
舞姫が送信ボタンを押した....直ぐに優羽の携帯にメールが届いた....優羽はそのメールをmicroSDカードに移動させた。
「これでいいよね?」
「う...うん....ありがとう!」
優羽は直ぐにでも舞姫からのメールを読みたかった....しかし....舞姫が望むためそうする事が出来なかった....
「ネェ?何時の電車に乗るの?」
「昼前のやつかな....」
「駅で見送ってあげようか?」
「いいよ!そんな事しなくって!」
もし舞姫に見送られたら泣いてしまうかもしれない....優羽はそう思うから断ったのだった....
「体に気をつけてね!」
舞姫のその言葉に送られて優羽は駅へと向かった....少し歩いて振り返ると舞姫の姿はもうそこになかった....
「見送りに来なくてもいい.....」
優羽にそう言われた舞姫は優羽に内緒で見送りに行く事にした....優羽が家を出てすぐに着替えて家を出た....そこには優羽の姿はなかった....舞姫は少し安心して駅へと向かった....優羽に気づかれないように....優羽の姿をその目に焼き付けるように見つめていた......そう....舞姫もまた優羽の事が好きだった....優羽を乗せた電車が動き出した時思わず舞姫の目から涙が零れ落ちた....
「どうして.....」
あとは言葉にならなかった....
家に戻った舞姫は真っ直ぐに優羽の部屋に向かった....主がいなくなった部屋は綺麗に片付けられていた....舞姫は優羽の部屋のクローゼットを開けた....舞姫はそこに掛けられていた優羽の高校時代の制服を手に取って抱きしめた....
「優羽......」
舞姫の目から涙が零れ落ちた....
優羽に好きな人がいる....それは舞姫にはショックな出来事だった....優羽には彼女がいないという事に舞姫は安心していた....優羽に好きな人がいる....しかも好きになってはいけない人....その事に少し救われたが....嫉妬心が湧いてきた....嫉妬心を抑える事が出来なかった....だから....昨夜....優羽の幼い頃の話しを持ち出して意地悪な事を言ってしまった....言ってしまった後の自己嫌悪....舞姫はその場にいられなくなりリビングを出た....本当は優羽と話していたかったのに....ベッドに入って目を閉じると優羽の事ばかり思い出された....