投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

どうして....好きになってはいけないの?
【純愛 恋愛小説】

どうして....好きになってはいけないの?の最初へ どうして....好きになってはいけないの? 0 どうして....好きになってはいけないの? 2 どうして....好きになってはいけないの?の最後へ

優羽の気持ち...舞姫の思い...-1

その年はいつになく寒く、三月の終わりだというのに雪が降っていた。雪が多い北陸でもこの季節に雪が降る事は滅多になかった。
この春、関西の大学に進学する小鳥遊優羽(たかなしゆう)は雪が舞い落ちる空を見上げ
「名残雪....かな.....」
そう呟いた。しかし名残雪というには少し強く降っていた。この季節、積もる事はある筈もなく、降っては溶ける雪を見ていた。
「優羽!傘もささずに何してるの?」
後ろから傘をさしかけられた。振り返ると姉の舞姫(まき)が笑顔で立っていた。
「なんだ...姉さんか....」
「なんだとは何よ!失礼ね!彼女だと思った?」
舞姫は少し拗ねてみせた。
「彼女なんて...いるわけないだろう!」
優羽は少し照れながら答えた。
「どうして?優羽は私の友達の間でイケメンだって有名だよ!女の子に告られた事あるんでしょう?」
「それは......」
優羽が困ったような顔をすると
「やっぱりあるんだ!」
舞姫は優羽の顔を覗き込んだ。
「いいだろう...別に....」
実際...優羽は卒業式の後に告られた事もあった。
「ネェ...どうしてその子とつき合わないの?」
舞姫が興味深そうに優羽の顔を見ていた。
「好きでもない子とつき合える訳ないだろう!」
優羽がぶっきらぼうに答えると
「えっ!?優羽は好きな人いるの?」
舞姫が驚いたように聞いた。
「一応ね.....」
「その子に告らないの?」
優羽は首を横に振った。
「どうして?」
「好きになってはいけない人を好きになったから...」
優羽は小声で答えた。
「えっ?」
優羽は舞姫の問いかけを無視して走り出した。


優羽は四歳年上の姉・舞姫の事が好きだった....家族としてではなく....一人の女性として....


優羽がまだ幼い頃
「優羽ちゃんは大きくなったら何になりたいの?」
舞姫にそう聞かれた時
「お姉ちゃんのお嫁さん!」優羽は迷わずそう答えた。
「優羽ちゃんは私のお嫁さんにはなれないんだよ!」舞姫がそう言うと、優羽は泣きそうな顔で
「どうして?お姉ちゃんのお嫁さんになれないの?」
そう聞いてきた。
「だって!お嫁さんは女の子がなるんだよ!優羽ちゃんは男の子だからお嫁さんにはなれないんだよ!」
舞姫がそう答えると
「じゃぁ...僕のお嫁さんになって!」
優羽は舞姫の顔をジッと見つめていた。
「いいよ!優羽ちゃんのお嫁さんになってあげる!」
舞姫が答えると
「本当に?」
優羽は不安そうな顔で舞姫を見上げていた。
「うん!!約束ね!!」
舞姫が右手の小指を立てて、優羽の前に差し出すと
「ありがとう!お姉ちゃん!」
優羽は笑顔で右手の小指を立てて、舞姫の小指に絡めて指切りをした。



どうして....好きになってはいけないの?の最初へ どうして....好きになってはいけないの? 0 どうして....好きになってはいけないの? 2 どうして....好きになってはいけないの?の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前