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どうして....好きになってはいけないの?
【純愛 恋愛小説】

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朝陽に包まれて....-4

翌朝....舞姫は早くに目が覚めた。東向きの窓のカーテンを開けると北アルプスから朝陽が昇って来ようとしていた。真っ赤な空に北アルプスのシルエットが浮かび上がっていた。綺麗....舞姫は素直にそう思った....
舞姫が優羽の部屋に入って行くと、予想通り優羽はまだ眠っていた。
「優羽起きて!」
優羽の体を揺すろうと優羽の体に手をかけた時、寝ぼけた優羽が舞姫の手を引き寄せて、舞姫を抱きしめる形になった。一瞬....このまま....舞姫はそう思ったが
「寝ぼけるんじゃない!」
優羽の頬を叩いた。
「何!?」
優羽が目を覚ますと
「起きた?」
舞姫が笑顔で声をかけた。
「何するんだよ!」
優羽が叩かれた頬を抑えて言うと
「いいから見て!」
舞姫は優羽の部屋の東向きの窓のカーテンを開けた。北アルプスから朝陽が顔を出した所だった。優羽は起き上がって舞姫の隣に並んだ。朝陽から放たれた光の矢が優羽の部屋に差し込み二人を照らした....それは....今まで何度も見て来た光景....二人にとってはあたりまえの光景だった....二人が一緒にいる事のように....優羽の大学進学をきっかけに....それまであたりまえだと思っていた事があたりまえな事でないと知った....特別な事だったと....だから....この光景がさらに綺麗に見えたのだった....


舞姫は思った....自分が選んだ未来は....この朝陽のように明るく希望に満ちたものではない....むしろその反対だと....それでも....優羽が隣にいてくれれば大丈夫....ううん....優羽が一緒にいてくれるから大丈夫....だと.....

舞姫はそっと優羽の肩に頭を預けた....優羽は優しく舞姫の肩を抱いた....

「ゴメンね...朝早くお越しちゃって....」
舞姫は視線を上げて優羽を見た後再び朝陽を見つめた。
「ううん.....」
優羽も視線を落として舞姫を見た後再び朝陽を見つめた。
「この朝陽を見た時どうしても優羽と一緒に見たかったの.....」
二人が選んだ未来を....誰も理解してくれない....自分達の事を非難するだろう....そんな事はわかっていた....わかっていて選んだ未来だ....辛く苦しい事のほうが多いだろう....だからこそ明るい未来を予感させるこの光景を優羽と一緒に見たかったのである....優羽も舞姫と同じ事を考えていた....
「優羽ちゃんは大きくなったら何になりたいの?」
「お姉ちゃんのお嫁さん!」
「優羽ちゃんは私のお嫁さんにはなれないんだよ!」
「どうして?お姉ちゃんのお嫁さんになれないの?」
「だって!お嫁さんは女の子がなるんだよ!優羽ちゃんは男の子だからお嫁さんにはなれないんだよ!」
「じゃぁ...僕のお嫁さんになって!!」
「いいよ!優羽ちゃんのお嫁さんになってあげる!」
「本当に?」
「うん!!約束ね!!」


それは....幼い二人が交わした約束....果たす事の出来ない約束....姉弟での結婚は認められないから....しかし....二人にとってそんな事はどうでも良かった....結婚とは....一枚の書類が役所に受理されるかどうかで決められるものでしかないから....心でしっかりと結びついた二人には形式上の結婚なんて意味がなかった....舞姫は確かに優羽のお嫁さんになったのである....



朝陽は....これから二人が歩いて行く辛く険しい道を隠すように....明るく輝く光で....舞姫と優羽の二人を....優しく包み込んでくれていた....


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