べたな?出合い-3
「おはよう。ありすちゃん。」
ありすが、教室に入ると由美が声をかけてきた。
「おはよう。由美ちゃん。」
「ありすちゃん。今日いつもより40分遅れでお家を出たでしょ?」
「あ、ははははは。」
「時速500qオーバーでぶっ飛んで行ったのを見てびっくりしたって言ってたよ。」
「あ、ははははは。つい……。ところでこの後、ちょっとしたことが発生するけど冷静に対処してもらえます?」
「な、何かな〜?」
「すぐにわかるよ。」
「なによ。それはー?教えてよ〜?」
「すぐわかるってばー」
そこでホ−ムルーム開始のチャイムが鳴る。
「ほら、席に戻らないと先生が来ちゃうよ。」
ありすは、由美の背中を押す。
「なんかー、気になるなー。」
止むを得ず席に戻る由美。
由美が席に戻るとほぼ同時に教室の前のドアが開いて教師が、入ってきた。
担任の坂本優子が、教壇に立つ。
「起立。」
委員長の島津紗枝が、号令の声をかける。
「礼。」
「着席。」
全員が礼着席し教室内のざわめきが収まるのが待って坂本は話を始めた。
「はい、皆さん。今日から皆さんと一緒にお勉強する新しいお友達を紹介します。」
そこへ廊下に控えていた金髪の美少女が、教室内に入って来た。
「おっおおおおおおお。」
いっせいに男子生徒から、歓声が上がった。
「いやーん、すごいかわいいいーーーっ。」
女子生徒からも黄色い歓声が上がる。
「あれっ?なんか、見覚えが…どっかで合ったかな。それともただのデジャヴ?」
由美は戸惑っていた。
「自己紹介して。」
「はい。カミーラ・ドルベークです。日本はまだ慣れないので戸惑うことも多くて皆さん、色々教えてください。よろしくお願いしまーす。」
「おっおおおおおお よろしくしまーす。」
男子生徒が答える。
「のわんだとーーーーーーーーーーーー!」
由美が、大声を出して立ち上がる。
「なんですか!工藤さん。」
「いえ。なんでもありません。」
由美は、慌てて着席する。
「あ〜あ……冷静にって言っておいたのに。」
ありすは、頭を抱えていた。
ポンッとありすの頭に丸められたメモ用紙が飛んできてポンッとありすの頭に当って机の上に落ちた。
「うん?」
丸まったメモ用紙をとりあげて拡げるて見る。
「どういうこと? 〜ありすちゃんの馬鹿!〜」と怒気に満ちた殴り書きで書かれていた。
「あっ…怒っちゃった」
恐る恐る由美の席のほうを見ると由美が、「じとー目」でにらみつけてる。
「あちゃ〜」
説明めんどうくさくなりそうと思いつつメモ用紙を1枚取り出して急いで書きなぐり硬く丸める。
由美はカミーラのほうを睨み付けていた。
コンッと由美の頭に丸まったメモ用紙が飛んできて当る。
「ん?」
「カミラちゃんはカミーラじゃないよ」と書いてあった。
伝えるべきことは、伝えたと、思っていたありすの頭にまた、メモ用紙が飛んできて、ぽこんと
当る。
「また〜?」と思いつつメモ用紙を拡げると中に消しゴムが芯として入ってた。
「……由美ちゃん」
「なんでよー?」と書かれてる。
「後で説明するよ」と書いたメモ用紙を投げ返す。
「何で最初から、言ってくれないのよ」と書かれたメモが、再度、投げ返されてきた。
「説明が、複雑になりそうだからだよ」と書いて投げ返す。
「どおして?」と書かれたメモが再度…
「だから、後でちゃんと説明するから」と書いて…
由美とありすの間を10回以上丸めたメモ用紙が飛びあう。
由美から、ありすにめがけて18往復目のメモが飛んでいく途中でそのメモ用紙は、担任の坂本の手でキャッチされた。
彼女は、メモをひろげて読む。
「ありすちゃん帰りカミーラちゃんを誘ってお茶しましょ♥ −由美‐」と書かれてる。
坂本は、メモを見てフルフルと肩を震わせてる。
「新しいお友達と仲良くしようとするのはいい事ですがホームルームの時間は授業と同じです」
「工藤さん!山里さん!貴女方は小学生か!2人とも廊下にたってなさい」
「はーい。」ありすと由美の返事が、完全にはもっていた。
由美とありすは、嬉々として廊下に出る。
「怒られちゃったね」
廊下に出るなりありすが由美に話しかける。
「まあ、あんなことしてたら、普通怒られますよね」
二人は、教室側に背を向けて並んで立つ。
「由美ちゃんも怒ってる?」
「もう、怒ってませんよ」
「どこにします?メイド喫茶?」
「コスプレ喫茶も捨てがたい」
「アンナミラーズもいいな」
「この街にはアンナミラーズないでしょ」
「いま1店しかないよね」
「あんな遠くまでいけないでしょ」
「飛んでいけばすぐだよ」
「飛んで行くって……」
「箒もあるし」
「私もカミラちゃんも飛べないよ。」
「由美ちゃんは、私とタンデムすればいいしカミラちゃんは、飛べるよ。」
「そう言うことなのね」
「そうだよ。」