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女王と俺の奇妙な日々
【ファンタジー 官能小説】

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危険な身分-1

嫌な展開になったと俺は思った。人を殴れと言われてできるものでもないし、相手は本業の上、俺を快く思っていない。いずれにせよ恥をかくだけだ。だがもう相手は真ん中に立って待っている。
高校の頃、俺は中国拳法の真似事が好きになり、自分で勝手に本や動画で研究していたことがあった。空手をしていた友人と技の掛け合いをしたこともある。拳法の動きは興味深いものだったし、理屈も面白かったけれど、勝ち抜く強さも冷酷さも俺には縁の無いものだと知った。今や、強くなること自体、こんな鬱になってしまっては、目指す当てが外れているというものだ。
サルヴァッツァと呼ばれた女は構えた。前傾せず斜めに立ったから、打撃が得意らしい。構え合うとどちらが強いか分かる程度の感覚は俺の身に付いてはいた。
触覚なのか視覚なのか、見えるような圧力を感じる。強い相手ほど、それを大きな球として身の周りに発している。その球こそ相手の制圧圏だ。だから実力が違えば、近寄ることもできない。相手の攻撃は届いても、こちらのは遠く及ばない。
奇妙にも、女の脚に隙があった。球のその辺りが欠けていると感じた俺は、女の左腿を蹴ってみた。
見事に命中した。意表を突かれたふうの表情を女が見せた際に、また蹴った。これも当たった。効いたらしく、脚を組み替えようと動いた時、同じ脚の内側を蹴った。大きな音がした。
女の肌が怒りに赤く染まった。左前に構えなおしたから、左腿が痛いのだ。
ここの格闘術には下段蹴りがないらしい。それで、よけ方も知らないようだ。会場は騒然となっていた。話が違うといった顔で、女は俺を見ていた。
腫れた左腿を庇い、前に出した構えにしたのは、気の毒だが好都合で、簡単に三発また同じところを俺は蹴ることができた。女の左へ回り込んでみたら、よろめいて動けない様子だった。そして更にひと蹴りが当たった。
女が倒れかけたと見えたときだった。女は軸脚で跳ね、俺の体にしがみ付いた。タックルだった。素早く女は俺の背中を捕らえ、両腕と両脚を固めてきた。俺は寝技は全然知らない。
「Kiel, nun? 」
(さあ、どうする?)
「Nenion plu! 」
(もうどうにも)
女は俺の腰巻きを口で剥ぎ取った。そして言った。
「Tio estas la plej fatala punkto de viro! Indas konfirmi. 」
(これが男の急所か。確かめる価値はある)
俯せに抑え込まれた俺には何も見えない。
「Ĉie okazas ĉiam akcidento, ĉu ne? Ĉar mi ne konis tiun ĉi organon. 」
(事故はどこにでも付き物だ。違うか。こんな器官は知らないしな)
生温かい感触が袋を包み込んだ。口だろう。
鋭い痛みが走った。噛み潰す気だ。
「Haltu, Sarvacca ! 」
(やめろ、サルヴァッツァ!)
女王の声がするが早いか、頭の上に衝撃が走った。女が離れて背中が軽くなった。見ると、サルヴァッツァは気絶して倒れている。そして俺のすぐ横に女の脚があった。見上げたら、ルルッタラだった。
「Mi piedbatis ŝian anuson. Ŝi iom ankoraŭ ne vekiĝos. Estu nun trankvila . 」
(尻の穴を蹴った。まだしばらく起きないだろう。落ち着け)
ルルッタラは先日より着飾ったふうで、マントをしていたが、俺の頭の側にしゃがみながら、そのマントで俺の顔を覆うようにした。目の前に、裸の女性器があった。ルルッタラは秘かにそこを俺の口へ押し当てた。
そのあいだ、手は俺の腰に伸びて、噛まれた状態を探りながら、関係のない刺激をも加えるのだった。
俺の鼻に、ぬめりが流れ込んで来た。女王とは違うにおいが広がった。手の中で大きくなった俺をルルッタラは上手に隠しつつ、腰巻きを戻してくれた。


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