PiPi's World 投稿小説

未定第二部
推理リレー小説 - その他

の最初へ
 2
 4
の最後へ

未定第二部 4

今泉の元にマッチョなメイドふたりが駆け寄る。彼女(?)と同じく田宮の部下、阿鈍と寒村だった。
「一体何が起こったと言うんです?」
質す今泉。
「千葉第三室長が北に送り出そうとしていたドリームサターンは既に港を出港していました。我々は偽の情報に踊らされていたんです…」
阿鈍が口早に説明する。
「莫迦な、ドリームサターンの出荷情報は第三秘書室のコンピューターから直接盗み出したもの…。同時に北の間諜を捕まえて…、それすらもフェイクだったと…?」
青い顔をして口ごもる今泉。千葉とは些か癖のある男で桐山の秘書室の人間である。いわば田宮達の同僚だ。そしてドリームサターンとは最新の家庭用ゲーム機の事であるが、そのゲーム機を輸出することに何の問題があるのか、俺にはさっぱり分からなかった。それに秘書室の人間が商品の輸出を直接指揮するというのも変な話である。
「おい、今泉。分かるように説明しろっ!!」
俺の怒声に、今泉はやれやれと言った調子で肩をすくめた。
「桐山の秘書室が設けられた本来の目的は業務が肥大化したその反作用として生まれる負の部分、非合法な仕事を請け負う為です。鳳家の紅蛇と似ていますね。それを私事で利用しようとする男が出てきたのです。第三秘書室の千葉は何度か鈴木君にも仕事を依頼しているのでよく御存知でしょう。」
「ああ、あのメガネを掛けた無愛想な男だろう。仕事以外の付き合いはないがかなりエキセントリックな奴だ」
「実はあの男、共産帝國による世界制覇を夢見る危険人物だったのです」
俺は省吾の言葉に首を傾げた。
「共産主義と帝国主義では言葉が矛盾していないか?」
「そんなことはありませんよ。現に、将軍様の…×××××××
註:編集部内検閲により削除…
「はっ!?今のは一体…」
「恐らく、このサイト存続に関わる危ない発言があったのでしょう…。それはともかく、千葉という男は桐山を利用してドリームサターンを大量に某国に出荷しようとしているのです。あの男、学生時代は内ゲバで何度も捕まったらしく、その時に付いたあだ名が赤い眼鏡といい…」
そこまでの説明を聞いて、今まで黙っていた銀鈴が首を傾げた。
「別にゲーム機くらいいくらでも出荷すればいいでしょう?」
質問を受け、今泉が首を振る。
「高性能のゲーム機は通常兵器関連汎用品に指定されているんですよ。それを阻止する為に、我々は動いていたのですが、此処で密輸船を摘発する書類を渡そうとしたところ…」
「裏をかかれ、既に船は出た後だったんだな…」
俺の言葉に、今泉は珍しく苦い顔を見せる。
「現物は運び出した…後は証拠隠滅…口封じか…」パキン!パキン!と、小口径の拳銃らしい控え目な銃声が散発的に響く。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す