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未定第二部
推理リレー小説 - その他

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未定第二部 2

「あたしらがアンタの所にこのファイルを届けに来る話、漏れてたみたいね…」お銀の右手には手のひらサイズのミニ・リボルバーが二挺、二人から取り上げた物だろう。「オマエ…またオレの事まき込んで、無理矢理仕事させようとしてるだろ?」
「あら、この仕事を始めたときから覚悟の上なんじゃなかったの?別にお金儲けがしたいだけなら他に仕事はいくらでもあるでしょう?」
そう言って顔を覗き込むお銀。勿論、好きで始めたことだが、他人の手のひらで踊るようなことはしたくない。
「最近の桐山は強引なんじゃないか?運び屋は俺だけじゃないだろうに。何だか騙されて仕事をさせられているようで…」
そう言ってお銀に非難の声を向けるが、銀鈴は細い指先で俺の唇をふさいだ。
「あら、美人に騙されるなら本望でしょ?」
「…あ、いや」
俺は不覚にも口ごもってしまった。それに対して、少し意地の悪い笑みを浮かべて銀鈴は言葉を続けた。
「それにもう巻き込まれているでしょ?あなたの会社までこうして変な連中が押し掛けてきているんだもの。今更関係ないって言ってもねぇ…」
「お銀、てめぇ…」
気まずくなったオレは、取り合えず話を逸らすため健を示す。「大体なんでお前まで…」ちっちっちっ…と指をかざす健。「この前の一件の絡みで手打ちが成立したのサ…」桐山も公主も多かれ少なかれ経済的な打撃を受けている為、共倒れを防ぐ苦肉の策といった所か。
ともあれ、俺は書類を受け取り、退社時間になると指定場所へと車を走らせた。
場所はとある波止場の倉庫で、桐山の所有しているものだ。
無論それだけなら簡単な仕事だが、そんな仕事が俺のところへ回ってくる筈もない。
案の定、高速へ乗ってしばらくすると、不審な車が俺の尻を追ってくることに気が付いた。
俺は薄い笑みを浮かべてアクセルを踏み込む。
途端、がつんと加速する俺の車。一速、二速でも前輪が浮くほどのピーキーな仕様だ。
直線で追ってこられる車などこの世には存在しない。
このまま振り切れば穏便に済む筈だった、が…忘れていた。後部座席に『こいつら』を積んでいたのだ。『ぱらららっ!ぱらららっ!』『しゃこんっ!ばきゅんっ!しゃこんっ!ばきゅんっ!』…お銀のイングラム短機関銃と健のウインチェスターライフルが、(こんな時に限って)無駄に正確な射撃で追っ手を粉砕した…。

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