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なつらぶ!
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なつらぶ! 2

取り出した小銭は…12円…。
絶望的だった。

公園には人は誰もいなかった。
こんな暑い日は熱中症を警戒して親も子を外に出さないのだろうか。
それとも最近のガキは涼しい部屋でゲームでもしてるのだろうか。
とてもいい天気なのにも関わらず閑古鳥が鳴いている公園というのはどこか寂しいような……
ん……?
俺が倒れている時は通行人も多かったよな?
「あ……」
ふいに彼女が声を出した。
同時に黒服の男達が公園内に現れた。
「お迎えにあがりました。お嬢様」
黒服の一人がそう言った。
気が付くと公園は黒服の男達に占拠されていた。
「お嬢様?」
「あ……うん、私のこと…」
彼女は悲しそうにそう言うと、キッと真面目な顔になった。
「私…この人と一緒じゃないと帰りません!」
「「は?」」
俺と黒服のオッサンがハモった。
「何を…何をおっしゃっているのですか、お嬢様!?だいたいこの者は?」
「彼?彼は私の命の恩人です!」
俺はいつの間にか命の恩人になってた。
「彼にお礼をするために家までご一緒してもらわなければいけません!」
ぶっとんだ会話だった。
というか誘拐だった。

「ちょ、ちょっと…」
「「貴方は黙っていてください!」」
黒服の男と可愛い女の子に一度に怒られた経験が無かった俺は、涙をこらえるしか無かった。
「だいたい…どうお嬢様の命に危険があったと言うのですか?」
問題はそこである。
この嘘をしっかり答えられないことには活路は見えない。
と心の中で彼女に言った。
「それは私が…」
彼女は淡々とこう話した。

何故か橋から落ちて川に落ちそうになる

いきなり俺が現れて、橋から手を伸ばし、彼女の足をガッチリ掴む

宙ぶらりんになった彼女を引き上げる

めでたしめでたし!

とても無茶だった!
「ちなみに橋の高さは…?」
「…十メートルくらいです」
ここらへんにある橋なんてせいぜい一メートルそこらですからね。
「うぅむ…」
「十メートルは死ぬなぁ…」
「本当のことかもしれん…」
黒服のオッサン達は悩んだ。
オッサン達はどうしようもなく馬鹿だった。
しかしオッサン達の一人が何かに閃いたかのような顔をした。
「ならばお嬢様…その男は見たと言うのですね…?」
「な、何を…?」
彼女に焦りの色が見えた。
もちろんこれは嘘であって、実際命を助けられたのは俺のほうである。
ここで嘘がバレたら…彼女は大人しく家に帰らなければいけない。
というか家出でもしたのかな、この娘。
「お嬢様は橋から落ちたといいます」
「えぇ…」
「頭からですよね?足を掴まれたとのことですから」
「もちろん…です…」
そこで俺も気付いてしまった。
人の体重を掴んで離さないということは容易ではない。
それなりの力が必要だ。
それは…痣になるほど…。
彼女の足には、俺が足を掴んだ……跡が無
「お嬢様の下着の色を!!」

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