『香姫』というハンドルネームで今日もネットを徘徊していた彼女は、低い衝撃音とかすかな女性の悲鳴を感じてハッと頭をあげた。普段なら聞こえるはずもない距離だったが、その音は動物的な恐怖感を彼女にもたらした。
「もしもし。・・・さん」
彼女はお隣さんの扉をノックする。お隣さんとは普段面識もあり、特に息子の『あし』君とは小さいころよく遊んだ。
え？
とてもよく聞こえますよ。
間違いなく死罪であろう。
ザクザクザク。
待て、待ってくれ。
そんなに心配する事ばかりじゃあないんだよ。
冷や汗たらして不細工この上ないないったらないね。
撃ち飛ばされたばかりで、
俺はとっくの昔に死んでいるんだ。　死んだ人間はもうそれ以上殺せないだろ。
純白の花嫁衣装　それだけはヤメテクダサイ。
来ると思っていたよ。
何もかもお見通しか。
何十年付き合ってると思ってるんだ。
そろそろ死ぬかね。
弟は見事な死に方だった。　止める間もなかったよ。
お家はどうなる？
知ったことか。


ねぇ、昨日のニュース見た？会社員の男がさ、婚約していた女性を刺し殺したんだって。そのあとに自殺。先月は、学生が母親と幼なじみを………しつこい？ごめん。でもさ、世の中殺伐としてきたよねぇ。何かの小説みたい。あはは。
え？さっきから携帯でなにしてるって？
あるサイトの小説読んでるの。何人もの人が書いてるやつ。内容はサイコ。
気づいた？私も書いたのさ、それ。『月夜』だよ。

どう？おもしろい？
面白い？オモシロイオモシロイオモシロイギギギガガガアアアアァァ―　

ごろりとおちたくび
「加害者の共通点は、とあるサイトに掲載されていたリレー小説に参加していたと警視庁が発表しました。サイトは現在閉鎖され、・・・」
なんかさー、俺、その前にサイト保存したんだよｗ
意味わかんねぇし、ともかくただスプラッタなだけ？誰が死んだのかもはっきりしないし、俺は死んでるし、殺そうと思ったんだ母親でも誰でもいいからともかくころしたくなったっていうかいまちまみれでたのしい
ともかくおまえらもみろ