密室にて 12
そこでお前は自分の臭さに堪えられなくなるだろう。そして暴れるんだ。今までの俺がそうだったように。
彼女を巻き込んで。
彼女は刃物がお気に入りなんだ。ナイフでもメスでもチェーンソーだろうと使いこなすんだ。俺がこういうのも何だが、彼女はかなり強いぞ。
そしてもしお前がここにたどり着いたなら、この空を、街を、風を、孤独を噛み締めろ。臭さも衝動も祈りも総て混ぜて叫べばいい。その声は必ず誰かの耳に届く。
また惨劇が始まる。
いくつもの喜劇と悲劇でこの世界は成り立っているんだ。
なんて、格好つけた事を言える身分じゃないな俺は。もう頭にガタが来たのか、すぐそばにまだら色をした看護師服のやつが佇んでいる気がするんだ。
チェーンソーを持ってやがる。
まるでいつかの誰かみたいに。