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秀吉異聞 もしも秀吉が子沢山だったら
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秀吉異聞 もしも秀吉が子沢山だったら 2


天正2年には次男、竹吉が元服して秀則と名を改めるのだが、
「のう、小一郎。お前はまだ世継ぎに恵まれんのか?」

小一郎とは秀吉の弟、長秀、後の秀長の事だが、
「欲しいと思うても、こげばかりは・・・」
「それなら、秀則を養子にすりゃええ。」
「ほんまか?」

「一応上様のお伺いを立ててからにしといた方がええぞ。」
「勿論、そのつもりじゃ。」

岐阜へと向かうと、
「ちょうと良いところへ参ったな筑前、実はそちに話があってな。」
「お、お話とは・・・」
「5、6年先になるが・・・」

浅井氏を攻めた際、
浅井氏に嫁いでいた信長の妹、お市の方は娘達を連れて織田家に戻っており、
信長はお市の方の長女、茶々を秀一と結婚させるつもりなのだ。

「そ、それがしの一存では・・・」
「おね殿とも重々相談してからでも遅くはあるまい。」

「小一郎殿の養子にしていただくお許しは得られました?」
「お許しは得られたが・・・それよりも大変な事があるんじゃ。」
岐阜でのやり取りを伝えると、
「まあ、藤吉郎(元服した際に父と同じ通称を名乗るようになった秀一の事)と茶々様を夫婦に?」

「そなたとも相談の上とは申されたが・・・」
戸惑う秀吉に、
「殿、良いではありませんか。」
「そなたが良いと申すなら・・・」
天正3年、長篠城を攻める武田勢との戦は秀一にとっては初陣であり、緊張していた。
「父上、上様は何故自ら出陣あそばされたのでございますか。」
「武田の軍勢は強兵揃いだからな。三河に援軍を送るだけではいかんと思われたのじゃろう。」
「なるほど。ではここでまず牙を抜く。そして将来の足掛かりとする…負ければ徳川殿は敵に回りますね。」
息子の言葉に秀吉はわが意を得たりとうなずいた。
「左様。ここで負ければ、徳川殿は家を保つために武田に下られような。負けられん戦じゃ。」

ふと秀一が本陣に目をやると。

「父上、上様の陣に三つ葉葵の紋が見えますが。」
「三河守様がお見えになられたのじゃろう。」

徳川三河守家康が信長の陣へ赴くと、
「おう三河殿、よう参られた。」
上機嫌で迎える信長。
「上様、あなた様自らが参られるとは思ってもみませんでした。この家康、迷子が母を見つけたような気持ちにござる。」
「此度の戦は是が非でも出陣せねばと思いましてな。」

戦は織田・徳川連合軍の勝利に終わり、勝利を祝う兵たちの間をゆく秀吉親子。
「酒井様の奇襲も凄かったですな。」
「酒井殿は三河守様の重臣故、上様としては三河守様の顔を立てるつもりじゃったのだろう。」

すると家康が現れた。
「筑前殿、そこにおられるのはご子息ですかな?」
「と、藤吉郎秀一にございます。」

緊張する秀一に、
「まあ、そう固くならずとも。」
「さ、さようで…」

初陣を迎えた若武者をほほ笑まし気に見る、家康と秀吉。

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