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吹けよ暴風、荒れよ台風
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吹けよ暴風、荒れよ台風 15

一方、建造中の大和級超弩級戦館の“大和”と“武蔵”だが、当初の設計を改め、30ノット以上の高速を出す為に船体の長さと機関出力を増したことは前述した。その他の変更点として、主砲は46センチ砲3連装3基計9門と変わらないが、砲身長が45口径から50口径に改められた。また、副砲として、最上級巡洋艦の主砲として採用された60口径三年式15.5センチ3連装砲4基12門の代わりに、新開発の60口径四式15.5センチ高角砲連装6基12門、それと、九八式65口径10センチ高角砲連装8基16門を搭載することになった。

 60口径四式15.5センチ高角砲とは、「軽巡の主砲を両用砲にして、主砲・高角砲・基地の重高射砲を1機種で賄う」という欲張ったコンセプトで開発された物で、三年式15.5センチ3連装砲では砲弾と薬嚢(発射薬を詰めたケース)を別にしていたのを、装填速度を向上して多数の砲弾を一挙に撃ち込む為に、薬莢式に改めている。
 同時に、高射装置との連携能力の向上や半自動装填機構の改良も行われ、熟練した砲員が運用した場合、1門あたり一分間に9発を撃てたとされるが、当時の砲員達の回想や運用記録によると、「訓練では毎分8発を目標にしていたが、練度の高い砲員たちだけが毎分8発を撃てた」といい、このため高角砲としては艦艇より基地での運用が多かった。
 三年式15.5センチ3連装砲では1門毎分5発の発射速度であったから、60口径四式15.5センチ高角砲では1門あたり約5割増しの発射速度を実現してはいた。
 しかし、元となった三年式15.5センチ3連装砲は、長射程の代償として砲身も砲本体も重かった。
 60口径四式15.5センチ高角砲もこの点は受け継いでしまっており、結局高角砲としての運動速度を優先して連装型と単装型のみが生産された。
 優秀な砲であり、重爆撃機退治や対艦戦闘で活躍したこの砲だが、軽快な単発・双発の爆撃機・攻撃機相手の高角砲としては長10センチ砲のほうが頼りにされ、また渇望された。

これら海軍の60口径四式15.5センチ高角砲や65口径10センチ高角砲には陸軍も注目した。そしてまず、60口径四式15.5センチ高角砲を高射砲として採用した。これは対空のみならず、地上戦でも大いに威力を発揮するものと期待された。

また、ドイツやソ連では次々と優秀な戦車が開発され、強力な機甲師団が整備されつつあった。日本陸軍でもそれらに対抗する為、火力や防御、機動力に優れた高性能戦車が開発されることになった。設計に当たっては、65口径10センチ高角砲を主砲として用い、また、傾斜装甲や曲面装甲を取り入れ、動力としては新たに開発された大出力ディーゼルエンジンが採用された。


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