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死刑戦争
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死刑戦争 4

「なお、列島防衛海軍いずも型航空護衛艦が対馬沖に展開。万が一の時に備えて準備を開始してます」
「ほう、手回しが良いな」
「大使公邸周辺には韓国軍の治安維持部隊が展開、にらみ合いをしてますがグルでしょう。公邸敷地排除不能と見做された際には我が海軍航空隊が周辺を制圧しティルトローター機が強行着陸、ここを封鎖したのちサーバーの自爆装置が作動します」
武官が淡々と言う。

「邦人は日本人学校に集結済みか?」
「はい、緊急帰国の為に列島防衛陸軍緊急部隊が到着……順次脱出をしてます」
既にソウル日本人学校は閉鎖しており維持管理の為に信頼置ける韓国人数人が管理しているのに過ぎない。無論彼らも亡命者として受け入れる事が決まっているのだ。
「治安機能はもうないでしょうね」
「恐らくな」
日本邦人はこの日を持って全て日本へと帰国、そして日本人学校は焼き打ちされた頃には日本国大使館も閉鎖して大使一行は脱出したのである。無論外交上無礼だが各国の大使は既にこの国から脱出しておりこれは大韓民国を国家として機能してない事を現れであった。


戦況は徐々に朝鮮半島自治政府軍が南下しており大韓民国は国連で各国大使に必死に支援を求めるも各国からの返事は冷淡であり、寧ろ欧州各国からは朝鮮半島自治政府に降伏する様に諭されたほどである……日本に助けを求めるも憲法上の制約により拒否。アジア各国も同じ用に拒絶されたのである。ソウルの大停電は数日後に回復するも戦争継続は困難になりつつあった。
脱走する兵士、マトモに稼働しない兵器、戦争によるマイナス要因による韓国金融市場の混乱……そして大韓民国政府はソウルを放棄し仮首都して釜山に拠点に据え、更に数日後ソウルは朝鮮半島自治政府軍が無血開城した。同政府がここまでして半島統一を急ぐには訳がある。それは日本と米国との密約だからだ……これが無ければ中国に飲込まれる。だからこそ米軍が将軍一族を暗殺する際には加担したのが今の朝鮮半島自治政府の中枢グループである。日本との最大の懸念事項であった人道的問題は全て自分達が罪を認め、主導者らを日本政府に引き渡した。日本との外交や通商を得る為の手段はこれしかなかったのである。今回の戦争も出来れば回避したかったが韓国の暴走を黙らすにはソウルを占拠する必要があった。
一世紀前の朝鮮戦争とは状況が異なり今回は旧北朝鮮である朝鮮半島自治政府軍は国際社会から支援を受けており例え韓国海軍が必死に封鎖してもアジア有数の錬度と装備を誇る日本列島防衛海軍単体でも撃破される。最も韓国海軍の装備品や錬度は新興国よりも劣り、韓国海軍も必死になって先の竹島紛争時に失った主力艦の取得に乗り出してはいたが陸軍や空軍に予算を分捕られて中々実現できなかった。ただ一隻のイージス艦も2010年代に建造された老朽艦、その他のコルベット艦も戦力はとても先進国には及ばない。海軍の不甲斐なさに陸軍や空軍の非難が起こると海軍の最高責任者は逆に陸軍や空軍首脳陣を問い詰めた後にイージス艦で朝鮮半島自治政府に亡命、それは韓国海軍終焉を意味した。
空軍も陸軍も海軍の重要性を認識しても時既に遅し、韓国海軍の各部隊は大統領府に見切りをつけその日のうちに周辺国に政治亡命を申請、無論日本にも亡命を申請したコルベット艦も数隻出ており那覇海軍基地へ曳航された。韓国政府は直ちに脱走者を引き渡すように亡命を受け入れた各国に抗議するも何れも無視、ミサイル攻撃をすると言う恫喝も云いだしたのである。
「いよいよですな」
日本武尊の艦橋ではこの恫喝を危険視、改正された憲法にのっとり“日本本土が攻撃される恐れがある場合は先制攻撃も持さない”行動を執る事にした。国連からもお墨付きを得た日本軍は米軍と共に行動に移した。

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