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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 91

九一式徹甲弾はコンクリートで防御された砲台や火点を叩き割る。
対空用としては危害範囲が狭すぎるとして対空戦闘時の使用停止が決まった三式弾も、防御が不十分な地上構造物を次々に焼き払ってゆく。
さらに四式榴弾が砲兵陣地だろうと対空陣地だろうと、その広い危害半径を利して大爆発させてゆく。
砲撃を終えた時には、あちこちに火災が発生し、さらに砲弾などの誘爆が続き、もはやすべての陣地が潰えたと見えた。
堅固な施設や滑走路は一式徹甲弾がこれを破壊していた。
「突撃!」
ハノイから来た三国直福中将率いる陸軍第21師団が上陸した。さらに蘭印からやってきた混成第56歩兵団と香港から抽出された野戦重砲第14連隊も続いて上陸した。
「敵戦車出現!」
アメリカ軍も戦車を中心とした機械化部隊で反撃したが日本軍はこれを爆雷による肉薄攻撃と野戦重砲第14連隊の榴弾砲などでこれを撃破した。
グオォォ
ババババババババババ
アメリカ軍の戦闘機による機銃掃射が始まった。
「ひぃっ!」
「ぐわっ!」
「ぎゃぁっ!」
日本軍歩兵は慌ててドイツから譲り受けた対空戦車クーゲルブリッツで反撃した。
ガガガガガ・・・・
クーゲルブリッツの連装30mm機関砲が咆哮する。
見る間に2機のサンダーボルトが撃墜された。
これを見た他の米戦闘機は、対空戦車を主目標に切り替えた。
そこを8糎高射砲部隊の射撃が捉え、また2機のサンダーボルトが犠牲となった。
ドドシュッ!!
サンダーボルトは携行していたロケット弾を地上の対空戦車たちめがけて発射する。
機関砲弾とロケット弾が交錯し、3機のサンダーボルトと4両のクーゲルブリッツが犠牲になった。
「敵戦闘機ノ空襲ヲ受ケツツアリ。至急上空護衛ヲ求ム。」
三国中将は機動部隊宛に救援の電報を送った。これを受け取った小澤中将は「天城」と「宝鶴」から合計28機の暴風を発進させた。
「あっ、日本の戦闘機が来てくれたぞ。」
ドガガガガガガ ボゥーン
「良いぞ!全部叩き落せ!」
激しい空中戦が始まった。しかし、頑丈なサンダーボルトを落とすのは容易なことではなく、なかなか決着はつかなかった。

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