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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 60

それは空母「加賀」である。艦長の岡田次作大佐は大慌てで火災の消火を命令した。
ズドォーン
「加賀」に続いて命中弾を受けたのは「蒼龍」であった。
「加賀」「蒼龍」共に火災は消し止められたが、飛行甲板に450キロ爆弾の直撃を受けたため、航空機の発着が困難となった。 
しかし小沢中将は「赤城」「飛龍」「瑞鶴」の3隻から零戦13機、九九艦爆7機、天山13機を発進させた。攻撃隊長は能野澄夫大尉(零戦搭乗)であった。
「サンハシント」「カウペンス」の艦載機による空襲を受けた為、送り狼となってアメリカ軍空母を攻撃することにしたのだ。
まず零戦が先に突撃し、防空戦闘機を撃墜した。そして、
「ト・ツ・レ(突撃体勢作れ)」
「トトトトトト・・・・・・・(全軍突撃せよ)」
雷爆撃が開始された。
まず狙われたのは「カウペンス」であった。雷爆同時攻撃で4発の魚雷と3発の爆弾を受け撃沈。さらに空母を外れた魚雷が駆逐艦に命中しこれを轟沈した。
「戦果次ノ通リ
・敵空母1隻撃沈
・敵駆逐艦1隻轟沈
以上」
と能野大尉は打電した。

日本軍もアメリカ艦隊の攻撃を受けていた。米空母「モントレー」の艦載機とハワイ基地に残っていた全航空機が襲い掛かってきたのだ。既に基地航空隊の数は少なかったが、総数は艦載機と合わせて107機、十分大編隊と言えよう。
特に集中的に狙われたのが旗艦の正規空母「赤城」であった。「赤城」艦長の青木泰二郎大佐は必死の操舵で何とか攻撃をかわし続けた。
ダダダダダダダダッ
防空戦闘機の零戦や暴風も必死の迎撃戦を続けた。
ヒュウゥゥ〜
ドドォ〜ン
ズガァ〜ン
ついに「赤城」も中央エレベーター付近と飛行甲板後部に直撃弾を受けた。さらにこの衝撃で無電通信が故障した。機関は無傷であったが、艦隊の指揮が困難となったため小澤中将以下司令部は軽巡「長良」に将旗を移した。

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