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太平洋の荒波
その他リレー小説 - 戦争

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太平洋の荒波 17

空母「赤城」は攻撃を凌ぎ一息ついていた。しかし見張り員が叫んだ。
「敵機!」
これに対し小澤中将は言った。
「またか!」
このとき日本軍の零戦がアメリカ軍戦闘機と格闘戦を演じ多くを撃墜したが、その一瞬の隙に急降下爆撃機が「翔鶴」を襲った。
ドカーン、ドドーン、バガァーン
3発の命中弾を受け、内1発が中央エレベータを直撃、もう1発が船首付近を襲い飛行甲板前部にも被害が出た。さらに3発目は機銃台座を粉砕した。
小澤中将は「瑞鶴」と「飛龍」から零戦24機、九九艦爆40機、九七艦攻7機を発進させエヴァ飛行場の爆撃を指令した。攻撃隊長は島崎少佐であった。
送り狼となった日本軍攻撃隊はアメリカ軍機が着陸したところに爆弾の雨を降らせた。
さらにこの直後近藤中将はエヴァ飛行場に激しい砲撃を加えた。

後に第一次ハワイ沖海戦と呼ばれる戦いはこれで終わった。日本軍艦隊は引き揚げたのだ。
アメリカ軍はこの戦いで701機の航空機を失い、使用できなくなったものも含めると千機以上の損害であった。一方で日本軍も193機の航空機を失い、空母「赤城」「加賀」「蒼龍」が小中破、「翔鶴」は航空機の発着困難となった。そこで日本軍機動部隊はウェーク経由で呉軍港に戻り、修理及び改装に取り掛かった。
「赤城」と「加賀」は主砲を取り外し、代わりに対空火器を増強、「蒼龍」も対空機銃を増やす事を決定。
「翔鶴」は飛行甲板に装甲を施し、これまた対空火器を増強する事になった。
「飛龍」「瑞鶴」の二隻は無傷だった。艦体そのものに大きな損害はなかったのだ。しかし、航空隊の消耗が激しく「赤城」「加賀」「蒼龍」「翔鶴」の航空隊の残りの一部を「飛龍」「瑞鶴」に乗せての作戦行動となった。
山本大将直率の「大和」「長門」「陸奥」はトラック諸島に、「山城」「扶桑」「伊勢」「日向」は横須賀にそれぞれ戻った。
近藤中将の高速戦艦を基幹とした部隊はミッドウェーに居座り、アメリカ軍の反撃に備えた。
日本軍はアメリカ軍機動部隊を撃滅したものの日本軍機動部隊の被害も大きいため、南に目を向けた。ニューギニアとオーストラリアを攻撃し連合軍の戦線を後退させ、オーストラリアの連合軍脱落も狙っていた。
まずラバウルから飛び立った零戦30機と一式陸攻94機がポートモレスビーを攻撃し、航空機41機を地上撃破した。損害は零戦9機、一式陸攻1機であった。
翌日、零戦23機、九九艦爆59機がミルン湾に侵入。輸送船1隻と魚雷艇2隻を撃沈した。

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