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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 83

球磨(くま)にも射出式迎撃機雷を装備しており魚雷を発射した後に続けて迎撃機雷を後部から射出する。畝傍(二代目)と安将丸は退避の為に全力で航行しているとはるか後方で水柱が巻き起こる。
「迎撃成功か」
「手が空いている乗務員は見張りを、聴音手ヘットフォンを外して!」
球磨型は片舷で同時に二十本の魚雷を射出出来るが今回は新型の多弾頭魚雷もあるので下手すると難聴になる。まるで海底火山が噴火した様な轟音と水柱が巻き起こり、油を初めとする浮遊物が出現する。
「少なくとも一隻は仕留めたかな?」
96式艦爆のパイロットは海面を見て呟く。


海中の各Uボートは艦内各部の浸水に必死になって応急処置をする。
「U−2249潜、応答ありません……」
「ちっ、あれは重雷軽巡か」
船長は制帽を後ろに回して言う。
「聴音手のハンズマンの耳が……」
通信士が言うには暫くは聞こえないと言う事だ……一隻で標準的な駆逐艦に換算して2.5隻分の魚雷を一気に放たれたUボート四隻は逃げ切れる訳もなく一隻は沈んだようだ。このU−2239潜も艦内各所での浸水を起しており発令所も水浸しになっている。重雷軽巡に関しては情報を知っていたがまさかUボート相手に雷撃してくるとは……船長はそのまま紅海へと向かう進路を取る。


一方、畝傍(二代目)は無事に越後を旗艦にする亜細亜派遣艦隊乙部隊に合流し主翼及び極光艦隊所属の大型飛行艇を引き渡した。あろうことか安将丸と共に曳航したのである。
「球磨からの報告よれば一隻の撃沈を確認、他は致命傷と推測されます」
「酸素魚雷十六本に闘魚四本なら当たり前の戦果ですね……」
狩鷹数機の随時の誘導により航路を先読みしていたのだ。一隻の撃沈を確認したのも狩鷹の水中聴音機による圧搾音が聞こえたからだ。
「球磨型は使えますな」
「だが、これでUボートの的にされるな」
「群狼戦法は数が増えればこちらが不利になる、如何に効率良く敵Uボートの連携を断つかだ」
紅海沿岸にあると言われているUボート基地の特定にはまだ時間がかかるが英国軍も特殊部隊を送り込んで地元の部族を利用していると言う。
「しかしこれは米国や独逸でも計画されるも書類段階でボツになっている、正直に言えば物量で効率良く確実に仕留められる方法を選んでいる」
越後艦橋にて司令官がヤレヤレと思う、ヒトラーも航空決戦思想に持ち込む腹であろう……だがそれは航空機母艦を潰せばどうなるか……研究中の空中給油機でも数には限度がある。
そこに畝傍の艦長と副長が姿を見せる。
「天海船長、九鬼副長……この度の判断はお見事であった」
「島田司令官、ありがとうございます」
「教官、その……」
「まだ士官学校の癖が抜けんのか、島田」
「私にとっては今でも教官です、それよりも妙です」
「うむ、畝傍(二代目)も安将丸もこれまで何度か敵高度爆撃に遭遇したが攻撃しなかった」
「もしかして畝傍(二代目)ですら拿捕されたら困るモノを運んでいるのでは?」
九鬼の言葉に越後の艦橋はざわめく。
「教官、彼女の言う通りかもしれませんよ」
「うむ……しかし白兵戦になると困るぞ」
「それに関しては英国軍から提案がありまして……その」
「まさか傭兵部隊になっている元豪州派遣軍を使うとか」
確かにこれは微妙であるが妙案でもあることに変わりはない。
「仕方あるまい、実質太平洋戦線は硬直状態だ。英国の案を受け入れよう」
これにより英国の傭兵部隊になっている米国の元豪州派遣軍の海軍は独逸航路封鎖作戦に参加する事になる。
「後、追加戦力として島風と陸軍海戦隊を乗務させた香椎を転属させます」
「(微妙だな)」
島風は島風型駆逐艦であり当初は16隻の建造を予定していたが量産体制が難しく逢えなく一隻のみになっていたが高温高圧缶採用で日本の駆逐艦としては最速の40.9ノットを記録した駆逐艦だ。前世では昭和18年に竣工したが後世世界では照和10年に竣工、連装砲は改修により全て高角砲化した。

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