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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 21

上村船長は気化爆弾よりも最悪な兵器を知っていた……前世の記憶を持ってこの世界に来た。
「(この世界に原爆を知らしめることは最悪な事になりえる可能性がある……広島と長崎の悲劇を得ない為にも気化弾頭の実用化を踏みきった橘次官を考えると……)」
WWTは自国民を巻き込む危険性を急速に高めた戦争と言える。英国は戦車を発明し、独逸は毒ガスを発明、そして航空機や飛行船も戦争の道具となった……そしてこの戦争はある男を産み出した。アルドフヒトラーである。独逸の快進撃が異常過ぎる。ソ連軍はウラル要塞まで押し込まれる、後世世界の冬将軍様次第じゃ第二次日英同盟も早まるだろう。
「か、艦長!」
伝令が真っ青になる。
「オーストラリアが正式に我が日本と亜細亜同盟国との講和したいと」
「いよいよ、英国王室をオーストラリアに迎え入れる気か。米国派遣軍は?」
「撤退を始めてます、どうも海軍はまだやる気の様ですが、陸軍は一部戦車やトラックをオーストラリア軍に譲渡して本国へ……」
「なるほど、輸送船に限りがある訳か」
「大至急第一連合艦隊に合流するように指令が下ってます。ジョージ.ワシントンを旗艦にした艦隊が北上すると……」
「ダッチハーバーにある新太平洋艦隊と合流されると厄介ですぞ」
上村は直ぐに指示を出した。


アラスカダッチハーバー……米海軍は壊滅した太平洋艦隊を再編成した“新太平洋艦隊”を仮母港としてこの地を選んだ。太平洋艦隊はあくまでハワイが母港だ……キンメル大将を初めとする艦隊指揮は先のハワイ沖海戦で捕虜になっていたがオーストラリアが降伏したのと同じタイミングで釈放、本国に帰国したのちに彼は辞表を出した……ペンタゴンは保留したが彼は自宅にて拳銃の銃口をこめかみつけて自殺した。
「クソッタレめ!」
タイコンデロガ級航空母艦は改エセックス級航空母艦から改称された新機軸空母でアングルトデッキと呼ばれる着艦用航空機甲板を持つ空母である。その一番艦がタイコンデロガでありアイランドと呼ばれる艦橋にて命令書を見るなり叫ぶ男に周囲は驚く。
「司令官、気持ちは察しますが」
「日本海軍は既にジーク(米軍内に置ける零戦の事)ではない事を知ってこの命令を出すのか!ポットマック河のホワイトパレス(ホワイトハウス)の連中は!!!!!!」
ドナルト.キーガン海軍大将は士官学校同期のキンメルの拳銃自殺を知って間もない所に“オーストラリア派遣軍の本土撤退を援護せよ”とワシントンD.Cからの指令に憤っていた。現在の主力艦載機であるグラマン.ヘルキャットでは日本海軍の艦載機には勝てない……艦載機乗りを育成するのにどれだけの手間を知っているのかワシントンD.Cは知っているのか?疑問に思える。
「噂の拿捕戦艦も硫黄島から移動し第一機動艦隊に合流したそうです」
「くっ……」
「代わりにワルター機関の新型潜水艦を差し向けるそうですが」
「ナチのウルフバックが直ぐにできる訳もないが……船長、出港準備」
彼は渋々命令を受ける形でタイコンデロガを出す事になる。
米海軍もナチスドイツ、日本海軍同様ワルター機関を持つ潜水艦を保有していたが試験艦“ノーチラス級”のみであった。ディーゼル潜水艦でも十分と見下していたがその予見ははかなくも崩れ去り太平洋戦線に置ける米海軍潜水艦の損耗率が大西洋戦線とさほど変わらない状況になり、特に日本沿岸に接近しダッチハーバーに帰港出来た潜水艦はノーチラスのみ……米海軍も遅まきながら量産型ワルター機関登載潜水艦開発に踏み切り改バラオ級一番艦バラオを筆頭にした艦隊型潜水艦を投入していた。ドックでは各バラオ級の改修作業が進み同時に機関員の教育もすすめられているとはいえこの分野に関しては完全に出遅れた。
それは紛れもない事実であり対潜戦術に置いても同様であった。日本の対潜戦術にナチスドイツのUボートに関する技術が元になっているのは明白であり、これはノーチラスが回収した工作員が持ち帰った事実であった。
「磁気探査に関しては我が国も細々としてましたが……」
海軍参謀本部から来たエリートは司令官に向けての言葉を選ぶには訳がある、ドナルドは海軍きっての対日講和論者でもあるのだ。祖父母が共にドイツ系ユダヤ人と米国内ではややこしい移民人種で普通なら軍役から遠ざける事になるも改軍上層部は出来なかった……彼は艦隊戦術面から米空母開発に関与している将校でもあるのだ。
「そもそもアジア地域への陸軍展開が政治的にも失敗した事も」
「君は陸軍に責任を押し付けるのか!そんな事をしているから現場での軋轢を生むのだ!アリントン改軍墓地が満杯にしたいのか!!!!」
後に通信機からアイランド内の会話を聞いてしまったタグボート船長は仰天して指で十字架をきって祈ったと言う。

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