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戦艦空母艦隊
その他リレー小説 - 戦争

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戦艦空母艦隊 19

前世自分の死因は核反応後の異常な程の放射能によるモノと知ったのはつい最近であった。橘はこの後世世界も同じ運命を辿る事を直感して行動を起こしているのだ。

「しかし、その研究所の場所はロモアラモスと言う事ですか」
「バショニにカンシテはサグラサセテマス……ヒトラーハコノヘイキノジツヨウカヲイソガセテマス」
同席したオットーは胡坐を掻いてはいるが表情は憂鬱だ。あの狂信者はその原爆を完成すればロンドンにも躊躇無く落とすだろう……国民も苦しい生活を強いられた原因にはWWTの時の戦勝国にある事は知っている。
「英国はソレが脅威だが取り除けば日英同盟は結ぶ方向に転がる……その際の対独逸侵攻阻止艦隊の計画書はこれです」
橘が出した分厚い計画書に一同が驚く。
「恐らくこれは日本帝国海軍最後の戦艦となるでしょう」
旗艦となる戦艦の設計図を見た一同は一様に興奮を隠せない。
「クローズバウに巨大バジルを備え、空母同様の倒立型煙突……画期的ですな」
「これは空母への改装を視野に入れてます」
計画書を見た面々は一応に驚いたのは随伴する戦艦群は全て航空戦艦になっており、東郷型航空戦艦は小規模艦隊旗艦機能を持たせ、対潜哨戒/攻撃機を搭載している。正規防空空母は信玄型一番艦信玄、二番艦謙信に至っては斜め飛行甲版を持つ装甲空母で戦車の搭載も考えている。
「プリンスオフウェールの改装も手掛けるのですか?」
「うむ、恐らく印度に技師や工員を派遣を考えてますが独逸の侵攻具合によっては泰国(タイ)や越南(ベトナム)、新嘉坡(シンガポール)の協力を仰ぐ必要も……」
日本政府は亜細亜各国には軍事援助もしているのは独逸軍との戦闘に備える為であり、その国の民族性や宗教性を尊重しつつも近代化に余念が無い……しかし併合していた朝鮮半島地域は反日派が燻っていて、アメリカの付け入る隙になる恐れがある。実際CIAの影もちらつき始めている。
「……そろそろ腹がへりましたな」
「……呼んで来ましょう」
同志が立ちあがり本家まで足を運ぶ。
暫くして大女将、即ち娘の姑になる人が来た。品が良く歳を感じさせない美しさだ。
「今宵も当店をご利用いただきありがとうございます」
「いえいえ、この様な無茶をして申し訳ない。芸者も呼ばずに……」
「今は御国の一大事ですからね……赤坂の芸者衆も分かってもらってます。愚息には少し持った無い娘を嫁に出してもらった橘様には……」
「こちらとしても彼の事情を知っていただけに少し無茶をさせて随分こちらの顔を潰させましたから」
そして仲居さん達が御膳を運んでセットしていく。
「お外の兵隊さん達にも握り飯を差し入れました」
「すまないな」
その夜は和やかに夕食が進み、Drアインシュタインは裏御品書きのカレーライスには満足した。



開戦から五ヶ月が過ぎた頃、金剛は横須賀ドックにて航空戦艦改修が完了し、大和型航空戦艦三隻も実戦投入された。日本本土防衛艦隊として再編された八八艦隊旗艦には大和、第一機動艦隊旗艦旗艦には武蔵、第二機動艦隊旗艦に信濃、第三機動艦隊旗艦には三河を配置。更に小規模だが北海道周辺の冬季流氷対応した世界にも類を見ない砕氷機動艦隊は砕氷戦艦白瀬型一番艦が実戦投入、何よりも日本帝国海軍はワルター機関を使用した潜水艦を就航させていた。

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