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戦艦空母艦隊
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戦艦空母艦隊 162

凄かったのはこの様な知識が全くないと言うから橘も目を丸くした……陸軍に売り込みに言ったら言われも無い罪状をでっち上げられ主犯格は強請って来たし警察もその主犯格に言いくるめられた。まあ丁度、海軍内の不祥事を取り締まる警備局がある士官の賭博行為によるトラブル調査の為に陸軍警備局との合同調査の際に発覚、しかも安藤も二度目の腸閉塞発症寸前とあって訓練の為に近場に居た海軍陸戦隊小隊に応援を要請……手塚が同行して事なきを得たが……。
「これは美味い」
「今は袋ですが何れは器も開発したいんや」
確かに災害時にどんぶりを用意するのは容易では無い。安藤は悩んだが意外な所でヒントを得ていた、亡命してきた英国ダンロップが新たに編み出した発砲プラスチック製造法で新たな商品を模索していると聞き彼はそれで器が作れないか……ダメ元で話すと相手も乗り出してきた。
戦時下は何時かは終わる、軍需で偏る企業が多いと業界再編が政府主導でしないとならない。その為に民需を見つけるのも重要な事だ。
「欧州の方々もこの即席麺に興味示して洋麺で出来へんかぁといっているんですわ」
「ほう……」
洋麺とはパスタの事である、当時としては本格的な洋食はまだまだ馴染みが無い日本人が多いのでこの様な表現になる事も珍しい事では無い。

この即席麺を開発し売り出した安東 百幅は海軍にも納品する事になり事業を拡大、何よりも創業時から多国籍となったので後に世界展開にも有利になる。橘に語った商品構想は戦後“コップヌードル”として日本国内や国外市場を席巻する事になり、商品化寸前に橘も試食している。故郷の広島にある実家の縁日で……。


後にこの時代は静かなる大転換期と称される事になる。

日本国内では女性の社会進出と国際化が進む事になる、これに伴い価値観も変化している……欧州の一般的な考え方が隅々まで浸透する事になったのだ。何よりも高麗政府の変わりようもスゴかった、まず反日運動家は殆どが投獄された。これは李氏朝鮮王朝最後の王族を失ったのが彼らによる扇動によるものと考えであり、日本に引き渡した安重根はそのまま獄中で生涯を閉じた。遺骨は祖国に渡される事も無くそのまま海原へと消えたのである……これが公表されたのは21世紀になってからの話だ。高麗国は米国に接近する事で近代化を図る事に躍起になりそのような障害になりえるものは回収不可にした方が都合がよかったのである。反日運動家の多くが祖国を追放され待っていたのはシベリアでの労務刑、彼らもまたその地で生涯を終えた。ここまでしたのは日本との関係を構築しないと経済面でもアジアですら埋没し這いあがれない。危機感があったのだ。
欧州はナチス第三帝国に席巻し英国本土も危ういし、米国もまた苦慮している……そんな中で日本が統治を放棄したのはある意味ではチャンス、しかしそこまで理解できない祖国に居る自称有識者が多く日本や欧米で学んだ朝鮮人は祖国の現状を憂いている。とにかく祖国の教育水準や思想が日本統治前は数百年前と変わらないと言うのは致命的であり反日運動家の多くがその思想から脱する事も出来なかった。
「……我々は余りにも無力だ」
「日本との関係は冷え切ってます、逆に米国はアジアでの足がかりに我々を選んだ。民が日本式がそんなに嫌ならアメリカ式の社会にしましょうか……」
旧総督府にある執務室にて交わされたこの会話が全ての始まりだ。
彼は李氏朝鮮王朝の血を持っているが混乱を極めた中、産み落とされた……ただ母親が首尾よく日本に亡命し彼自身聡明な子で勉学に勤しみ朝鮮語を話せることで旧総督府勤務になっていた。そんな中で突如として独立する事になったのだ、日本の帝国主義脱出と言う都合で……だからこそ母親の祖国であるこの国の現状は余りにも酷いが国の統治や軍や警察等はアメリカ式を丸ごと取り入れる事には軍上層部も納得するしかない。彼らの多くは日本で近代軍思想を学んでおりその中で各国の政治と軍に触れ如何に祖国が劣っていたのか理解しており、アメリカ式が良いと判断したのだろう。とりあえず主力戦艦はアメリカからの導入を探っている所だ……

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