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日ノ丸ノ国戦争白書
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日ノ丸ノ国戦争白書 2

「しかし、宣戦布告直後の“航空機を以って真珠湾を奇襲し、米太平洋艦隊を撃滅”この戦術に、当作戦部は異を唱えます」
これには、将校達は難色を示した。しかし、顔色を伺ってばかりいられないので、そのまま続ける。
「ここで、お聞きしたいのですが。この作戦の意図とは何でしょうか?」
すると一人の将校が声を荒げて叫んだ。
「決まっているだろう! 緒戦において太平洋艦隊を壊滅させて、アメリカの戦意を挫き短期終結させる事だ!」
それに対して神威は反論した。
「それは我々の思惑であり、向こうのではありません。もし、アメリカが別の思惑で、全く違う反応を起こしたらどうなりますか?」
アメリカ合衆国は、今や世界一のGNPを誇る国であり、工業力・生産力から見ても日本が勝つ確率は引くかった。
「確かにこの戦術は画期的であり、米軍艦隊に対しては最も有効ではありましょう。しかし、やって見なければ分からないと言う安直な運用ではあまりにも投機的すぎであり、無駄に戦力を浪費するだけであると言えます」
この言葉に先程の将校が、神威に吼えた。
「貴様は死を恐れているのかッ! 憶測を並べて死を恐れていては何にもならんだろうがっ!」
これに神威は目つきを吊り上げながら、将校を睨み反論した。
「我が日本の命運を賭ける戦いを、投機的な作戦に任せる訳にはいかないっ! むしろ相手の国力を利用した戦術を用いるべきだっ!」
「あ、相手の国力を利用……?」
会議室の将校一同はざわつき始めた。ただ平然としているのは山本長官一人だけであった。
「では、これより代替案の説明に入りたいと思います」




神威の出した代替案は、その場にいた将校達を唖然とさせていた。あまりにも現実性を欠きながら、極めて合理的な戦術・戦略であったからである。

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