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IPF 4

次の瞬間、無数の弾丸がグラムの身体に突き刺さる。
一秒間に放たれた銃弾は最新鋭の機関銃にも勝るほどの、まさしく銃弾の嵐と呼ぶに相応しい掃射だった。
グラムの体が銃弾の勢いに、無様な人形のように跳ねる。
焼けた弾薬が地面を跳ね、硝煙が夜の街に火薬の匂いに満ちた霧を生み出す。
やがて弾丸の掃射は止まる。すぐさま弾倉を入れ替える兵士達の顔には、さすがに死んだだろうという希望と期待が溢れていた。
能力者に希望と期待を抱く愚かさを、彼らは知らなかった。
そして気付いていなかった。まったくの血臭が漂わないことに。
「やはり、この程度か」
硝煙の霧の中を、ゆっくりと人影が立ち上がる。
失望と殺意の光を双眸に宿し、地面に広がる金属の海から這い上がった怨霊のように禍々しい姿で、口が裂けるような大きな三日月の嘲笑を浮かべるグラムの姿がそこにあった。

「ひっ!」
悲鳴をあげたのは誰だったのか。
隣の刑事かもしれないし自分かもしれない。ただ一つ、三百六十四人の刑事は背筋を這い登る恐怖に耐え切れず、再び拳銃の引き金に指をかえる。ただ引くことは出来なかった。二度と。

「腐れ―――堕ちろ」


全てが血の海となった風景の中でジャッキーだけが無傷だった。手足からは部下だった血がこびり付いているが、その身体には昼間の傷以外は、ない。
「どういうつもりだ!」
睨みつける刑事の瞳に、まだ戦う意志があることを見つけグラムは冷たく笑う。
「あんたはまだまだ面白くなりそうだ。だから殺さない。それとも何。このまま殺されたい。無様で無能な被害者の一人にされたい?」
ニタニタと笑うグラムの意図は笑う。このまま死んでも全然痛痒はない。
そう言って煽ってるのだ。グラムに対する憎悪を。
愛称ジャッキーと呼ばれた李・雷龍(リ・レイロン)は唇から血が流れるほど噛み締める。
「・・・・・・・貴様は必ず殺す」

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