PiPi's World 投稿小説

IPF
その他リレー小説 - アクション

の最初へ
 3
 5
の最後へ

IPF 5

その瞳に爛々と黒い炎が宿るのを見てグラムは笑う。
「悪いな。その台詞は聞き飽きた。とりあえず、あんただけ無傷で還ったら色々勘違いされるだろうから―――」
グラムは足を雷龍の右肘に踏み降ろす。ブチッと生々しい音を立てて肘が踏み潰された。
「っ!!!!」
喉元から昇る悲鳴を必死で雷龍は噛み殺す。
「両腕を失ってどこまでやれるか、俺を楽しませてくれ」
「貴様を楽しませるつもりは無い。お前は必ず殺す」
「ははっ、いいねぇ」
にやりと唇を歪ましてグラムは笑うと暫く男の下から離れ、そして何かを掴んで歩いてくる。それはみすぼらしい少女だった。全身に傷を負った少女の口元は真っ赤に染まっていた。
「俺からのプレゼントだ」
軽く少女を雷龍へと投げる。両腕が無い為、それを身体で受け止め再び激痛が走るが堪えた。
「・・・・・何のつもりだ?」
既に意識は激痛によりとぎれとぎれになっていたが雷龍は尋ねる。グラムは肩をすくめた。
「プレゼントって言ってんだろ。そいつ血を飲んだんだ。三百六十四人の命が溶けた血を。飢えか、それとも乾きかは知らないが血の中に含まれた大量の命を啜ったんだ。そいつは能力者になる。肉体か、精神か、それとも両方かが必ず狂って。いい武器になるだろうぜ」
「貴様ッ!」
「そう怒るなよ。ただの遊びだ」
「ただの遊び・・・・・だと」
「ああ、俺の退屈をどうやって解消するかのような遊び。だからそう怒るな」
あまりの言い分、あまりの言い草のグラムの本音に雷龍が硬直するのを見て、彼は破顔する。
「それじゃあな」
「ま、待てッ!」
思わず雷龍は手を持ち上げるが、すぐに停める。今呼び止めてどうする。無様に無駄に殺されるだけだ。グラムの身体は香港の闇夜に紛れ、ようやく遠くからサイレンの音を鳴らしてパトカーの音が聞こえてくる。

SNSでこの小説を紹介

アクションの他のリレー小説

こちらから小説を探す