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swords/dance
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swords/dance 6


その言葉と共に黒槍が消え、次に爆発のような衝撃波が回りに二度響き渡る。
 衝撃波の正体は黒槍が音の壁を突き破ったソニックブーム、そしてその黒槍を刀で打ち落とした迎撃時に落ちたソニックブームだ。
 音の壁を破った物体を見切る、おそろしい、という言葉すらも生温い、異常で異端で異質で異能で、怪物的化物的な動体視力と戦闘能力だが、それは先程の戦闘で嫌というほど知っている。
 嫌というほど味わっている。
「なるほどな」
治癒咒術に使っていた魔力を攻性咒術にまわした為、わき腹の切り裂かれた傷跡が開き、臓物が零れ落ちそうなのを手で押さえながら淡々と呟く。
「余波どころか咒術そのものを食ってやがる。そりゃ防御咒術も装甲もくそねぇな」
 ポタポタと少女の刀と小太刀の先端から黒に似た色の雫が零れ落ちる。
 黒ではない。赤があまりにも濃く、血があまりにも濁っている為に見える黒。その雫は刀の特殊な構造によって彼女の手首に巻かれた黒い皮革に繋がっていた。
「血統ならぬ血刀。そして身体能力は血と鍛えられた気による強化。正当法と外法を両方使ってたら、そりゃ俺とは相性が悪い」
俺の術式は違法。相手の不意をつき、相手の死角をつき、相手の意表をつき、相手の騙し欺く術。真正面から力押しで、死角からは外法で弾かれる。
「小細工は無駄ってか」
なら、正真正銘真正面から行くしかない。
俺は呪符から刀を引き抜く。
以前より使ってきた得意な武器だ。
勿論、それで相手できるほどの力量さだとは思ってないが、相手は遠距離からの攻撃を無効化できる能力者。ならば近づいて闘うしかない。
「ああ、糞。興味本位もいい加減にしないと、自分の首を自分で折りそうだな」

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