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swords/dance
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swords/dance 5

好摩が立ち上がり脳内の魔導書庫〔弥勒〕の中から情報を引き出す。
古の魔神、旧き怨霊、人外なる化生達に立ち向かう術。その中に一つだけ奇妙な情報があった。
呪も術もなく、ただ〔血〕のみで神を滅ぼし、魔を殺す一族がいると・・・・
「面白いな。血だけでも貰って〔下僕〕でも作ってみるか」
最初はそんな軽い気持ちだった。

 意識が〔現在〕に戻る。


「っ」
鋭い刃の切っ先を体を逸らすことで交し、お返しとばかりに突き出した拳は虚空を切る。肉体の限界設定の約四倍という強化術式を使ってもまだ不利なのか。
「ありえねぇ」
この戦になって何度呟いたかわからない言葉を口にしながら指先は回避した相手へと向かい、その指先に赤い灯火が宿る。
「穿て紅橙」
指先の灯火は灼熱の豪火球となって逃げる少女へと叩き込まれる。爆発。熱波と炎が撒き散らされ、一テンポ遅れて地面に落ちる少女の影。
「あァ、素敵ですわ。まだ生きてる。まだ殺せない。ここまで私の愛を受け止めてくださる殿方は初めてです」
「愛じゃねぇだろ」
 地面に落ちた少女は無傷。あれほどの熱量をどうしたのか、と疑問に思う。先ほどから放つ咒術一つ一つが刀一つで防がれる。咒と言っても現象化している為、その余波が発生する筈なのに。
 それすらも消し飛ばしているのかと思考しながらも違和感が残り、それを取り除くために、咒を紡ぐ。
「金曜攻性咒術式」
 大地から金属成分を取り出す。それは黒の粒子のように好摩の周りを渦巻き、指先の動きによって凝固、眼前に揃う十七の黒き魔槍へ化した。
「弾丸生成。木曜雷遁咒術――磁界生誕」
 目の前の十七の黒槍に電流を流し込み、局地的に膨大な磁界を形成、黒き槍が震え始める。
 少女は目を細め、その両手に握る大刀と小太刀を構えなおし、全身から放たれる威圧を高める。
 俺は飢えた猟犬のごとく唸る黒槍にささやくように命ずる。
「穿て」

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