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swords/dance
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swords/dance 7

 「やっぱ俺とは相性悪いから、逃げとくか」
 「あら?逃がすとお思いですか?」
 「………」
 ギラギラと殺人鬼が零すような満面の笑顔を浮かべる少女に俺は頭を抱える。
 実際、俺は目の前の少女とは今日が始めての遭遇−ーつまり初対面だ。
 それなのに斬りかかれた。そして交されたら驚いて、喜んで、告白して、殺しに来た。
 もはや狂気だ。変態かもしれないが、オレにはどちらでも迷惑だから関係ない。
 「ま、逃げるだけなら簡単なんだがなぁ、昨日久しぶりに大負けして実際、少し凹んでるんだわ、だから−−−」
 「あら、そうですか、それなら後悔しないように、ここでキッチリカッチリ……」
 「キミを打ち負かすしかなさそうだな」
 言葉が終わる。
 きょとん、とした彼女に俺は肩をすくめる。
「女の子を殴ることには躊躇しない性格なんでね。つーか、オレより強い女の子なんてザラにいる生活過ごしてるから、多少、後遺症が残るかもしれないから、先に謝っておくね」
「……冗談ではなさそうですね」
 少女の顔から笑みが消える。その双眸は暗い炎がともっており、両手に握る刃から零れ落ちる血も心なしか更に黒く染まったように見える。
 侮辱と取ったのかもな。
 異端である誇り、というものがある家系なのかもしれない。
 オレには異端である自分に対して回りに羞恥心しかないから、わからないけど、そういう人もよく見た。だからと言って前言を撤回するつもりはない。
 10年前に決めたことだから。
「ふぅ……間守流陰陽家系、朽葉好摩―――いざ参る」
「・・・・………」
 こちらは名乗っているのに無言か。まぁ元々名乗ることなんて滅多にないから礼儀が正しいのかもわからないし、それ以前に、すでに戦っていた途中から名乗るのがおかしい−−−
「意識が散漫すぎですよ」
 俺が気づいた時には彼女の切っ先は首筋まで迫っていた。神速−−先ほどまでの剣戟ごっこだと悟らされるほどの斬撃に速度に、俺は何かしよう、という思考が生まれない。
 そのまま刃は肌を切り裂き、そのまま血管、首筋を一気に両断−ー−する前に、刃は引き抜かれた。
 正確にいえば、前にいた少女が吹き飛ばされ、遥か向こう側の壁に激突していた。
「あ、ごめん」
 拳を叩き込んだ格好のまま、俺は謝罪するが、すぐさま彼女は立ち上がる。
 しかし、足元がふらつく。そりゃ打ち込んだのが呪式強化された拳だ。普通の人間ならばアバラ骨全壊で、即入院必須、下手すりゃ即死してもおかしくない一撃。
 それを予想も反応も出来ずに、カウンターでくらったんだから、いくら身体が丈夫だからって、溜まったもんじゃない。
 「……見えなかった」
 「まぁそりゃねぇ。キミみたいなタイプへの対策だからねぇ。初見で見破られた溜まったもんじゃない」
 俺は苦笑しながら拳を構える。今度は彼女は飛び込んでこなかった。刀を下段に構え、そして呼吸を整えると、勝ち上げるように刀を振り上げる。
 「血雨」
 刃から吹き抜けた間に血が飛び散り、それは高速を持って血刃となった。高圧で輩出された水が弾丸のような硬度になる現象。
 達人の手によれば水滴も、飛び道具というわけか。勿論、相手の飛んでくる血の刃は呪詛を吸収する。防禦結界は貫通、だからと交わそうと思考するコンマ数秒の間に、彼女の態勢は変わっていた。
 全身を短距離走のように低く構え、手に握る刀の切っ先はこちらを向ける。【刺突】それも相手が交わした、態勢に差し込む構え。
 

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