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swords/dance
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swords/dance 1

 黒髪の少女が剣を構えて囁く。
「愛しています」
 振り下ろされる剣戟。苛烈豪列、刃が空気を断ち切る衝撃波を纏いながら斬撃は、そのまま大地を切り裂く。一気に大地を両断し、その塵を噴出した。噴出した塵はまるで波濤のように回避したはずの俺の身体を空へと吹き飛ばす。
「っ!」
 余波というにはあまりのも強烈な攻撃に内臓が悲鳴をあげ、口端から涎が零れ落ちる。それでも俺は右手の指先で魔方陣を描き、空から眼下に佇む、清楚な黒髪を靡かせ、十二単の着物を纏った大和撫子に向って呪文を発動。
「厳つ雷(いかづち)よ」
 魔方陣から巨大な落雷が放たれ、大和撫子に直撃。爆発と熱風と余波の熱が大地を融解し、破壊する。
 普通の魔術師なら即死。それが剣士ならば間違いないだろう。しかし、空気分子を固定させ空中にたたずみながら俺は、冷汗を流すことしか出来ない。
 「無理かな・・・無理だろうなぁ」
 その言葉が聞こえたわけじゃないんだろうが、次の瞬間、噴き上げた土煙が割れ、突風と共に煙が散らされる。そこには無傷の美少女が佇み、その刀を握る逆の手に握っている小太刀に紫電が纏っていた。
 木曜咒術雷術式『雷帝』の一撃を、何の術もない小太刀で流したのか。ゴクリと恐怖で喉がなる。
 「ありえねぇ。化物か・・・・」
 背筋が凍りついてる俺とは反対に、黒髪の少女は頬を高揚させ、その右手に握る紫色の刀から高密度の妖気が立ち昇らせて甘く――狂ったように囁く。
「愛してるんです。本当に心の底から、心の臓腑の底から溢れ出てくるんです」
 刀の鋭い切っ先を向け、少女は血に滾った鬼女のような瞳で微笑む。
「でも殺したい」
「・・・・・・・・・・・・・・・殺神血統の狂気。まさか、こういうことで関わることになるとは思わなかった」
 冷汗と共に俺は、更なる呪術を練りこみ始める。
神すら殺す殺人鬼から逃げるための策を練る必要があった。
 そして物語の基点は一週間前に遡る。

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