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swords/dance
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swords/dance 3

赤の美女の周りに渦巻く劫火、猛火、妖火の群れ。触れれば人間など一瞬で灰燼と化す熱量の前に、並大抵の防御障壁など微塵も意味がない。
「本気だったら死んでるな」
血肉も魂魄も消し飛ばす浄化の温度だ。触れればとか、熱波を交わせば、とか、水曜の防御術式だったら、とかそういうこと字体が無意味な温度であり、相手が相手だ。
 人間という基準(カテゴリー)から外れてる、文字通りの人外。いや、この場合は骸外か。
「神に憑かれ、人間性を食い殺されたガキがそのまま成長したような不恰好さ」
 好摩は唇を軽く舐めなおし、劫火紅蓮の中に佇む赤い少女を見る。
「普通だったら殺してやってるが、一応義姉だからな」
 天井に叩き込んだ鵺の全身に紫電が走り、その姿が消える。現れたのは赤い少女の廻り。苦痛の唸り声を漏らしつつ十四の瞳を細めて、好摩の隙を狙うように唸る。
「残念」
 俺は右の五指に呪詛の炎を宿して傲慢に囁く。
「二度目は、ねぇ」
 人間の言葉を理解できるのかは定かじゃない。しかし、鵺は自分の顎に突き刺さった五指の文様が見えるだろうか。傷痕から流れ出した黒い血が複雑な文様を描く。
「死ね」
咒印から溢れ出た漆黒の暗黒が鵺の頭部を一瞬で飲み込み、砕き、捕食し、消える。ドスンと鈍い音を立てて頭部を失った鵺の体が床に倒れ伏し、紫電となって消える。
 残った赤髪の少女は鵺の消去を見て、長い前髪で顔を隠す。
 幼い頃【朽葉家】と同等の【紅蓮家】より養子として買われた頃からの付き合いだ。少なくとも多少の感傷はあるか、となど微塵も欠片も好摩は思わない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」
次の瞬間、背筋を貫いた感情をなんと表現すればいいのか、好摩の若い人生ではわからない。ただ体はすぐに動いていた。
 指先が剣印を作り、複雑な動きで宙を切り裂き、口元は陰陽術最高峰土曜系陰術【黄泉平坂】を、唇が摩擦で焼けるほどの高速かつ短縮呪文によって詠唱詠唱。

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