PiPi's World 投稿小説

swords/dance
その他リレー小説 - アクション

の最初へ
 0
 2
の最後へ

swords/dance 2

 咒師にとって神と付き合うには二通りの方法がある。一つは識神。つまり神を崇め、神の力を借りる術。もう一つは式神。己の式、神を下僕へと落とし、その力を酷使する術。
 そして俺、朽葉好摩(くちはこうま)は未だに一切の神との干渉が無かった。
「あー、めんどくせぇなぁ!」
苛立ちながら俺は指先で魔方陣を展開。無数の魔力で生成された刃の群れを受け止め、魔方陣を反転、防御から攻性へと、受け止めた刃の群れが射手者へと還り、それを同数の刃で相殺するのは、赤髪の少女。
 真っ赤な炎のように赤い長髪に血のように紅い双眸。禍々しいまでの深紅に背筋が凍りつくのをとめられない。
 それが自分の血族となれば、血反吐を吐きたくなる。
「駄目よ。好摩、貴方も朽葉の家系。一匹ぐらい式神を持ったらどう?」
「・・・・・嫌だ」
「ふぅ、全く強情ね」
赤い少女は溜息をつき、その瞬間、膨大な呪力が大気を紫電させ、その余波に俺の髪が逆立つ。ヤバイ、と気付くより早く紅の少女の背後に紫電が凝縮、巨大な雷の異形、鵺が顕現する。
「義弟だから、口で言ってあげてるのよ。普通だったら既に四肢はないのに」
「奇怪姫がよく言う」
ああ、俺は嫌なことを言ってるな、と思いつつ口は滑る。
「十歳まで人を喰らうことしかしなかったくせに」
「あら?」
深紅の少女は吃驚したように嗤う。
その笑い方があまりにも血の匂いがしすぎるもので、危険信号が鳴り響く。
「よく知ってるわね。実は貴方、美味しそうだと思ってたの」
「っ!」
鵺の口が開き、その喉奥に巨大な魔方陣。展開される組成印から火曜系。危機感に後ろに跳びながら水曜系防御術を編みこむ。
放たれた大火球砲弾を水の障壁で受け止め、激しい焼ける音と共に水蒸気が生まれ、霧となって漂う。俺は着地と同時に右に生まれる気配。横薙ぎの轟音を右腕で伏せぎ、その衝撃で床の木片が弾けて砕ける。
「ぐるるるるるっ」
紫電を纏いながら唸る鵺の顎へと踏み込みながらの掌底。全身の咒式強化法によってその破壊力は鵺の身体を天井へと吹き飛ばす。
天井を突き破った土煙が霧と混じりわり、その中を燃え盛る【赤】が貫く。

SNSでこの小説を紹介

アクションの他のリレー小説

こちらから小説を探す