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天使に牙を、悪魔には涙の唄を、
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天使に牙を、悪魔には涙の唄を、 6

 蛭児は悪魔だ。殺せ! 全神経が殺意を表明する。
 蛭児も最初会ったときより殺意が大きくなったことに気付き、苦笑して言葉を発した。
「あんたじゃ、俺には勝てない」っと。

ポケットの携帯が狂ったように鳴り出す。
俺は、蛭児の一挙手一動足見逃さぬようにしながら、左手で携帯を取りだし耳に当てる。
「ケルビム=イエサレス、私だ」
ケルビム=イエサレスとは天使の時の俺を指す言葉だ。
「・・・・・・」
悠長に会話する時間もないので無言の返答を返す。
「聞こえているだろうから続けよう、昨日巨大な時空の歪みが検知された。大悪魔が人間界に侵入した」
蛭児の口ぶりからすると目の前のこいつ。蛭児がその大悪魔なのだろう。
「セラフィムと大天使を応援として送る。」
セラフィムと大天使を簡単に説明すると、ケルビム(または直斗)より、階級がずっと上なのがセラフィム。これは固有名詞だ。
大天使はケルビムの下。雑兵達、と言ったところだ。
「君のいる半径1キロの事象を凍結させた。好きに戦いたまえ」
そして一方的に喋った後、電話は切られた。
事象を凍結させた、ということは今、この廃ビルを跡形もなく壊そうとも、凍結を解除した後には元通りになる。
つまり、文字通り、範囲以内なら何をしても良いのだ。

頭の良い人は、今ここで蛭児を殺しても(悪魔や天使を殺すということは精神を跡形もなく壊すことだ)凍結を解除した後、元に戻るのではないか。と思うかも知れないが大丈夫だ。
凍結させたのは人間界の法則だけで、我々や悪魔達にはなんら影響はない。
直斗はおもむろに引金を引く。
よくある火蓋がきって落とされた的な演出は無しだ。

発射された弾丸は蛭この体を貫く。ことは無かった。
直斗もその結果をよきして連射を止めようとしない。
硝煙が直斗の頭を包み、隠すがそれでも止めようとしない。
蛭児は弾丸を、にやけ顔を微動だにさせず、やんわりと片手で払い落としていく。
長いことこの動作は続けられた。イレギュラーなモーションを先に起こしたのは蛭児だ。

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