天使に牙を、悪魔には涙の唄を、 2
例えば、の話をしよう。
イフ、IFの話だ。
今この世はけっこう腐っていたりする。
見えるところでは政治家達の汚職。
では、見えないところでは何が起きているか。
麻薬?そんなちゃちなものじゃない。
紛争?あれでさえ、子供の遊びに見える。
では、答えは
悪魔の侵攻
大部分の人は鼻で笑ったかい?
ある人は冷めた目つきになっただろう。
誰かの受け売りだが、信じるか信じないかは君達次第だ。
そして、信じたところでどうなる話でもない。
結局、俺達に任すしかないわけだから。
俺達……そう、天使に……
……
大体、この話の概要がつかめてきたかい?
じゃあ、物語を綴ろう。
この話を読み終えた君に、幸あれ
……
繁華街、眠ら不(ねむらず)の街。
土砂降りだと言うのに、若者達は傘さえ差さず歩く。
雨宿りをする老年者達は、その若者を視界に入れ、若さへの羨望と、見下したような表情を浮かべる。
正直に言おう、俺は人間と言う生物が嫌いだ。
信仰心を持たなくなったからではない。哲学者と名乗る人も含め、総じて愚かだからだ。
戦争を馬鹿にはしない。俺達天使だって、悪魔と呼ばれる種族や、裏切り者の堕天使達となんども戦争をしてきた。
俺は参加してはいないが。
欲望に負ける点も馬鹿にはしない。
己の欲望に勝てる者は、この世にはいない。
欲望に勝てる者がいるなら、それこそ神だ。
俺たちの上に居座り、下界を見下ろしている奴らは、人間達が書いた神話に登場する神にとても良く似ている。
毎日、戦争の練習に明け暮れる神がいれば、船に乗り続ける神もいる。