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Dandelion
その他リレー小説 - アクション

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Dandelion 2

ふと神崎は自分の右手に握られている剣の存在に気付いた。その剣は虹色に輝きまぶゆいばかりの光を放っている。
「まさか!これは伝説の剣スピンブレイカー?」
しかしよく見ると、ライトに反射して光っているだけだった。
位置を変えると光りがおさまった。それは一般的な鋼でつくられた剣だった。

伝説の剣となまくら剣を間違えた自分に同情しながら制服にテキパキと着替える。
確かに内戦はあった。
それに自分は参加していた。
それを理由に人を殺した事もあった。
でも・・・・・・ただのそれだけだ。

高校の教室内にはすでに何人かの同級生が着いていた。
俺が通っている私立校は金を出せば、誰でも入れるという噂のあるぐらい私立にしては学力の低い高校だった。
ただ、だからこそ入れた事実もある。

表向きのことではあるが、高校は平和だ。
クラスメイトたちはざわざわと雑談を交わし、窓の外のグラウンドには、朝練をする陸上部員の姿が見られる。
未成年者を内戦から保護すべし、という建前上置かれた条例によって、学校敷地内での戦闘行為は禁じられている。
おかげさまで、歴戦の闘士も敗残兵も、校内では安全だ。…事故に見せかけた暗殺にさえ用心すれば。


「おはよう、神崎くん」

席につくと、隣の席の蔓木郁が笑顔で挨拶をしてきた。彼は、ああ、と短く頷く。

「知ってる?昨日の話。真戒派の施設が制圧されたんだって」
「…知ってる」
「新聞には詳しく載ってなかったけど。うちの生徒も何人か死んだみたい」

知っている。
今朝も、その施設から出てきたのだ。寝ていた負傷者の群れの中からは、なじみの顔がいくつか消えていた。

「もったいないよね。せっかく条例で守ってもらえてるのに、わざわざ革命に参加することない」
「…そうかもな」

蔓木の言葉は正しいと思う。
今の高校生の彼女たち…神崎自身も含めて…にとって、両派の覇権争いは直接的にはあまり関係ない。

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