新八剣伝 1
俺はどこにでもいる中学生だった。そう、ついこの間までは…
俺の名は真一。クラスの友達ともそれなりに仲良くしている。でもどこの学校にもいじめはあるらしい。
うちにもいじめっ子といじめられっ子がいる。 俺はいつも見てみぬふりをしているが、いつもいじめを見て「怒り」を感じていた。ただ、俺にはいじめっ子を倒す力なんてないから知らないふりをするしかないんだ。そうやって俺は学校生活を無難に過ごしてきた。
そして中2の夏休みの直前、その日はやってきた。
「はははっ!!あいつバカじゃねーのォ?」 「ほんとだ、なんとか言えよ〜」 いつもの光景。こんなのは見慣れていたはずだった。 でもその日の俺は頭で考えるよりも先に体が動いたようだ。
「いい加減にしろよ」
「「あぁ?」」「真一、なんか文句でもあんのかぁ?」
−なんでこんなこと…
「バカばかしいんだよ、お前らのやってる事。ガキじゃあるまいし。」
−−口が勝手に……ってもう遅いか…
バキッ…ドカッドコッ…
案の定ボコボコにされた…。気づいた時には教室には俺1人しかいなかった。
−−痛っ・・・
俺は校舎を後にし、すでに日が暮れて闇につつまれた道を1人歩いていた。
−−もう、学校には行けないかな・・・
すると、
「ん?」
街灯の光りをあびて、赤く輝く物体を見つけた。
手に取ってみると、それは玉の形をしている。ゴルフボールより少し大きいぐらいの大きさで赤く透き通っていた。そしてその中に「真」という文字が浮かび上がっている。
・・??
「なんだ、これは?」
するとその時、
『君は選ばれた。』
どこからともなく声が聞こえてきたのである。
・・!?
真一は驚いてあたりを見回したがだれもいない。
−−??
『わたしを探しても無駄だ。』
!? 「誰だ!?どこからしゃべってるんだ??」 真一は見えない声に訪ねた。
『私を探しても無駄だ。君には私の姿は見ることはできない。そして私は君が拾った赤い玉に宿っている精霊だ。』
「精霊だと?いきなりなに言ってんだ。信じらんねーよ・・。」
『信じる信じないは君の自由だが・・・もう一度言う。君は選ばれたのだ。』
しかし真一にはさっぱり意味がわからない。
見えない声は続ける。
『理解しづらいかもしれないが聞いてくれ。今、君たちが生活しているこの空間には今までこの世界が刻んできた歴史がある。しかし、この世に存在する空間は一つではないのだ。つまり、この世の他にもまだ私たちの知らない間に、この地球で歴史を刻み、今もなお生物たちが繁栄している空間が他にも存在するということだ。』
真一にはまだいまいちよく理解できなかった。
『ややこしいかもしれないが、その空間の一つ一つはずれて動いており、決して交わったり、ましてや触れ合うことすらなかったのである。』