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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 15

母親と乳児だった自分の元から去ったのは祖父母の指示で会社社員の為に戦略結婚する為であった事も……母親は心労の末に小学校高学年の時に過労死になりそれ以降は養護施設に……自分が高校生になってから現状を知った父親は養護施設に通い詰め、何も知らずに結婚した相手は子供が出来なかった事や罪悪感から同調はしてくれたが自分はそれでも許せずにいた……結局、将の引き取りと大学進学と同時に祖父母はセカンドライフと言う建前で地方に住む事になる。酒酔いしている従弟は緑瀬 竜也は将の義母の弟さんの子供であり結構なやんちゃであるがここまで酩酊状態ならテントで寝る事は分かっていた。
湘南に拘っても半数は地方から出てきた連中だ、それならここの方がまだ良いだろう……海案山子にがっぷり関与している企業の一つでもある柳瀬工業を背負う事になるのだから……。
「ねるぅ……」
嘔吐してもいいように洗面器を用意しておく……吸着性シートを置いて。
「薪に炭、焚き火台と……ふぁ」
この車両もアウトドア道具も父親が用意してくれたモノで日頃から養護施設で年下の子を面倒を見ていた自分を連れ出す為に揃えた。最初は面倒くさかったが父親は全て話してくれたし将の母親が死亡した時には火葬場の外で見ていたと言う。この段階で引き取る事も考えたが祖父母の反対された……しかし戦略結婚で嫁いだ嫁は生殖系の病気により子供が産めない体になってしまい、父の兄(長男)夫婦の一人息子だけでは不安になり漸く前の嫁の息子である将を引き取る事を承諾した事も……この車両は大学進学と同時に将の名義になった。父親も後十年働いてから第一線から引いてゆっくりしたいそうだ。
「……ここがいいかもナァ」
以前尋ねた時に父が呟いた事がある。
その眼は悲しげな感じであった、もう何もかも投げ出したいのだ。将もこうなると父である好意を受けざる得ない……急な受験であったが無事に合格、まあ義母の従兄が留年している大学だったのは気が引けるのだが……この辺りは忖度するべきであろう。
「ちくしょうぉぉおぉぉぉぉぉ!」
従兄の声も反応せずに将はため息交じりに海に繰り出す。


「思ったよりも投資はされているな」
将は海水浴場を見て思う。
海の家はドームハウスを中核にしており後は増設や移動が簡易なコンテナタイプのユニットが複数……河川を挟んで隣接するサーフスポットがある、反対側の河川隣にはプレジャーボート及び水上バイクのマリーナがある……最も二馬力ボートの利用が多いと聞いてはいたが……仮設とは言えオートコンビニシステムを採用している大手三社のコンビニ支店があるのもそれだけ消費者が集まると言う事だ……。
「ガソリンスタンドも大きくなっているな」
やはり海案山子関連で需要があるのだろう。

大型貨物車両と一般車両と区画分けされており、夜間はセルフ対応になっている……売店もオートコンビニ対応機材だ。意外と二馬力ボートやプレジャーボートや自家発電装置の燃料需要もあるのか小口配送用タンクローリーも用意されている。以前来た時には田舎町の標準的なサイズが点在していたが国道沿いのこの地に集約させたのだろう……無論点在していたスタンドは建造物が老朽化により取り壊されたが……比較的新しいスタンドは改修し試験導入されている共用EV向けのサービスステーションとなった。急速充電器やバッテリー自動積み替え装置を備えており軽度の故障なら修理できる作業スペースを備え屋根には太陽光発電と小型風力発電装置を備えている。EVは比較的航続距離が短く使用目的が限られるのなら非常に有効な手段だ。

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