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フロンティアはディープオーシャン
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フロンティアはディープオーシャン 2

最もこの二つを解決しても人は空気と水が無ければ生きられない……これを発生させるには多大なENとリスクも背負う事になる。そもそも海底開発なぞ本当に出来るのか……教授は常に考えていた。




日本海沿岸に面する保久崎浦町、この町に異変が起きたのは沖縄奪還戦争後の事だ。中国は尖閣諸島沖で使う予定の複数の海上プラットホームを放棄し日本連邦海軍は一個を遺して三つのプラットホームをこの町の沖合に移動した。
近くには海上自衛隊時代からの海軍基地もあり不審船の事もあるので漁協も余り強くは言えなかった。最もこの町の漁業は沿岸と養殖業で成り立っており沖合に海上プラットホームが設置に神経質になったのは釣り船屋や水上レジャー業者位……三基のプラットホームは海底開発への技術工廠/試験拠点として再整備された。漁港も各施設の老朽化により不具合だらけになったが一部を海上プラットホームへの物資や人員輸送拠点にする事で更新作業が進んだ上に過疎化が止まり人口が増加に転じた。これには海上プラットホームに関する人員が如何に多いのか窺い知る事になり高速道路及び国道も拡張や新ルートへの変更された。二人が乗る自動車が走っている国道も新ルートに変更された一つでトラックの往来も激しい。
裏を返せばそれだけ経済効果が生じている事になる。海沿いには小振りな風力発電用風車が並んでいる……海上プラットホームは海底基地への拠点にもなる、その為にも必要なのが電力だ……理想としては陸上から海底送電線の使用……だがこれには色々と問題がある上に陸地から遙か彼方に離れた個所に海上プラットホームを設置する場合も想定され原子力も考えられるもこちらも問題がある……結局は風力や太陽光、潮流や波浪と言った海ならではのシステムも実用化に向けて研究開発する必要もある。


つまり三基のプラットホームそのものも実験場なのだ。
そもそもこの手の計画は最低でも億単位を要する……海上プラットホームの建造費もバカにならない事は事実で海上プラットホームが三基もあれば億単位で済まされない。中国は尖閣諸島沖での海底資源開発にバンバン建造していたがこの税金でどれだけ国民を犠牲にしたのだろう……この海上建造物を漁船で見ると常に思う。
「隆ぅ!ポイントブイ見ているかぁ!」
「見ているよ!」
沿岸漁業及び養殖業向けの小型漁船は海上プラットホームが見える海域にシーアンカーを投入していた。漁をしている訳ではない、作業ダイバーにチャーターされているのだ……常に漁をすれば海産物の枯渇に繋がるので作業ダイバーらの相手に商売をしている。漁協組合公認で急な作業でも紹介して貰える……有働 隆もスキューバーダイビングライセンス保持者でアドバンスを取得、作業ダイバーらのバックアップの為に直ぐに潜水出来る様にしている。

「こんなもん、太平洋の方が見栄えが良いのに……」
「あっちは南海トラフ絡みで……普通の海上プラットホームじゃ無理じゃの」
船上に居る老人、張教授は酔い顔で言う。ここに来る前にカップ酒でも呑んだのだろう……ちゃんとライフガードを着用してくれる所はありがたいが……。
「有働さんには本当に助かりますよ」
「海中ドロイド自動整備基地って役に立つんですか」
「ここじゃと船上にした方がいいかもしれんが何れは遠洋深海域での運用も視野に入れんとあかんのぉ」

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