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バトルアーツ
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バトルアーツ 3

宇宙迷彩として黒に塗装された数機のファイターが人型に迫る。
人型とファイターの間には、まだ距離があったが僚艦への誤爆を恐れて中距離ミサイルを使用できずにいた。
ときには予想も出来ない機動で火線をかいくぐり、ときには弾幕をその強固な盾でやり過ごし、徐々に艦との距離を詰めていく人型。
渦を描くような軌道で艦へと近づく人型が突如、マズルフラッシュであかく光った。
直後。艦は揺れ、左舷前部の対空砲が弾けた。

「うろたえるな、被害状況を知らせ!」
騒然とする艦橋に艦長の怒鳴り声が響く。
直撃により艦の火力が一時的に弱まる、そのときを見計らったかのようにマズルフラッシュが連続で人型を宇宙に映していく。
横殴りの衝撃が四回、五回と艦を襲い、恐怖を煽るような警報音が艦全体に鳴り響く。
誘爆により致命的な被害を受けた艦橋内は静まり返り、死体が無重力を浮遊していた。


「・・・」
呻きすら出なかった、指を動かすだけで激痛が走る。
一瞬だった。人型の輪郭が宇宙に映し出されたと同時に視界は揺れ、真っ暗になった気づけばボロボロになって宙に浮いている。
普段の厳格な艦長のイメージとは相容れぬ姿だな・・・
無性に可笑しくなり、苦笑した。
意識が薄れていく中、艦長は戦争の流転を見た。
俺は戦闘機が好きだ。
空軍パイロットであった父親の影響からか、いつからか大空を優雅に飛ぶ機影に想いを馳せていた。
新時代となり、戦闘機が宇宙を飛行するようになっても想いは変わらなかった。
将来の夢は「戦闘機のパイロット」以外にありえなかった。
将来の夢で親とは揉めた、何度も喧嘩した。
「そんな危険な仕事はお前がやらなくてもよい」父は言った。妻子持ちのあんたはいいのかよ。
恋人とは二回別れた。
「軍人の恋人はちょっと・・・」あぁ、そうかい。
そんな苦労を重ねながらも俺は子供の頃からの憧れを信じてついに夢をかなえた。
宙間戦闘機のパイロット。
その機動力と火力で現代の戦闘で最強の名を欲しいままにしているファイターのパイロット。

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