PiPi's World 投稿小説

バトルアーツ
その他リレー小説 - SF

の最初へ
 0
 2
の最後へ

バトルアーツ 2

二つの戦艦から火が吹き出したところから、スライドショーのように画像がかわる。
「止めろ、一つ戻せ」
「はい」
完全に爆発し終り、跡形も無くなったところでココリアが止める。
「これはなんだ?」
ココリアが、ホログラムで空中に浮かんだ映像にタッチする。
拡大された場所に写っていたもの、それは巨大な人影であった。
「なんだ、これは・・・・・・」
ココリアの声が思わず上擦る。
ブリッジに緊張がはしる。
人型兵器、それはいくら時が経っても夢のような話だった。
技術面での壁。製造にかかるコスト。パイロットの育成時間。
たしかに、戦車一個師団に値する火力、空戦兵器並の機動力など利点も少なからずある。
しかし、兵器製造を請け負う企業、軍の開発・研究部では暗黙の了解のように扱われていたので、いっこうに人型兵器製造の話は上がらなかった。

夢のような人型兵器が目のまえにある。

だが、ココリアの頭に浮かんだのはそんなことではなかった。
どこの手の者か?
ココリアは生粋の、それも優れた軍人であった。
(反乱軍の資金で易々と造れるような代物ではない、では企業の裏切りか?しかし、資金援助も我々の方が何倍も多いはずだ)
「艦長、10時の方向に熱源!!」
「回避行動急げ、索敵班何やってんだ」
ココリアの檄が飛ぶとブリッジオペレーターの顔がかわる。
「戦艦ではありません、この形は・・・・・・人型です・・・・・・!」

「人型だから何だ!?弾幕張れ、味方に当てるなよ!」
クレアスチールの主砲2門、副砲、機銃、が動き他の艦もそれに習う。
直後、人型兵器乗るパイロットから見れば雨のように、幕というより壁のように迫り来る弾丸が発射される。
人型兵器が動く。
宇宙の漆黒に溶け込むようなダークブルー、左手マニピュレーターが動き光の壁が右手甲から張り出される。
主人の体を雨から守る盾。
「なんという技術力」
ココリアはブリッジで一人浮いていた。
まわりは、人型兵器の性能に恐れをなす。
しかし、ココリアは喜んでいた。
その間にも人型兵器は動く、右手が腰部に伸びる。ダークブルーの筒を掴み、目の前に構える。主人の意思に呼応し、刃が伸びる。
宇宙の塵を燃やし、橙に輝く、光の剣。
次の瞬間、機体自体が弾丸のように動く。
発射された弾丸は手近な戦艦に近づくと、ブリッジを剣で破壊し、エンジンを切り捨てる。
閃光を放ち、爆発するエンジン部。
人型は、しかしすでにそこから離れ、次の艦に向かっていた。
その頃になり、発進準備が整った宙間戦闘機(通称、ファイター)が空母から花火のようにテールノズルを輝かせ、宇宙に放たれる。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す