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トリップ・ドリップ・ストリップ!?
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トリップ・ドリップ・ストリップ!? 12

「なるほど。そんなもので応酬していたら国が疲弊してしまう。例え和平が結ばれても遺跡や機械騎士を生み出す力なんて残っているはずがない」

 もっと言うと、遺跡はともかく機械騎士は古代文明総力挙げての共同開発であると考えれば、外見に共通性があるのも頷ける。

「今の話で古代の国々が争っていた訳ではない、というのは分かりました。では――」

 どこの、どいつが。そんな物騒なものぶっ放したのか。

「僕は、古代文明が外敵に晒されていたんじゃないかなと」

「外敵? どこにそんな奴らがいるんだ?」
「少なくとも現状、大地には古代人類の痕跡しかありません。その敵対勢力が、海底やあるいは地底に潜んでいた可能性は拭えませんが」

 今より高度な古代文明に匹敵、または圧倒する技術。地上に存在しないのは、海か大地の下に在ったから?

「違う……。海や地下ではないと思います」
「なら何処だ?」

 僕はおもむろにテントの外に出る。二人は顔を合わせたが、僕の後についてきた。
 空には満天の星に月が一つ。地球と変わらない。

 ただひとつ、月の近くで点滅する赤い星がなければ。

「あの月の近くで点滅しているのは?」
「宵の息星(いきぼし)だな。夜になると現れ、息をするように光り、消えるために付けられた名前だ」
「あの星に纏わる御伽噺や神話がたくさんありますよ」

 キルト曰わく、あの星から神の遣いがやって来た。騒乱を鎮めた。死ぬと魂はあの星に集まり死後の世界へ導かれる――など。

 話から察するに今の人々はあの息星とやらに悪い感情は抱いてない様子。
 しかし、あれの所為で筋が通ってしまった。

「古代の人類と敵対していた存在は、海でも地下でもなく――あそこに」

「……はっ。何かと思えば、そんな訳ないだろう」

「待って下さい。ケイの話の中に空の上――宇宙という単語がよく出てきました。
 ケイの世界では、空の上がどうなっているのか解明されていて、実際に行くことが可能性なのでは?」

「――馬鹿な。人は空も飛べないのに、どうやって」

 二人にはもう少し踏み込んだ説明が必要だろう。ある程度の知識があれば、宵の息星が人工衛星であると理解するのは容易い事だから。

「――んぅ。頭の中がこんがらがって来たぞ」
「私もです。――つまり、宵の息星は星ではなく人工建造物で、大穴はあそこから放たれた大量破壊兵器によってできたもの――で宜しいですか?」

「はい。あの息星が太陽のように自ら発光する星ならば、たとえ点滅したとしてもあのように一回点滅するのに時間はかからないはずなんです」

 さらに先程のキルトの話にあった、あの息星がたまに月に架かるというのが本当なら、あの息星は月よりも手前に存在する事になる。

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