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トリップ・ドリップ・ストリップ!?
その他リレー小説 - ファンタジー

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トリップ・ドリップ・ストリップ!? 1

 えー僕、狗村 圭(いぬむら けい)。ただ今見知らぬ土地にいます。つい先程まで、家のトイレにて用を足していたのですが……。

 風、怒号、悲鳴、血錆の匂い、飛び交う矢。

「あわ、あわわわ……」

 手を洗おうとドアを開けたら、その先ではなんと戦いが繰り広げられていました。
 夢? うん、夢に違いない。だってさ、剣やら斧やらで殺し合ってるのに、それぞれの後方で鎮座してるのナニ?
 モビル〇ーツ? それともナイ〇メア?

 あまりの錯誤っぷりに、僕の思考回路はショート寸前♪
 ……目の前の状況を月に代わって教えて下さい。お願いします。

 あ、飛ばされた首がこっち来た。すげぇスプラッタ。何これ、首の断面から繊維みたいなのがチョロチョロと――

「うっ……」

 朝に食べたサラダだのトーストだのをぶちまける僕。胃液がまじぃ。
 暫くゲーゲーした後、僕はその場から離れた。死体なんて見たくないし、何より凄まじい匂いだった。何なんだよ、僕がなんでこんな目に……。

 今朝はいつも通りの筈だった。寝起きのスウェットのままテレビでも観ながら朝ご飯を食べて、トイレ行って、制服に着替えて、「行ってきます」の一言と共に学校へと向かう。

 なのに、トイレから出たら合戦場?
 何か選択肢でも間違えたのか僕は。ベッドから起きるときに、左足を先に着けるべきだったとか?
 それとも、点けるべきテレビ番組を間違えたとか――ニュースではなく不意を突いて教育番組にしてみる……とか。

 ダメ、だめ、駄目。因果関係、意味不明。主観世界、支離滅裂。

 取り敢えず落ち着こう。見渡すと近くに川がある。口でもゆすいで、顔洗って、もう一度周りを観察してみよう。

 戦場とは反対にある、緩やかな坂を下った先には清らかな水流があった。背後からは相変わらずの喧騒が届いてくる。僕はそれを出来るだけ意識から除外した。
 掬った水は冷たい。川をよく見ると、小さな魚が泳いでいた。川の底には草が流れに乗って靡いている。

 ちょっとスッキリ。うん、これは夢じゃない。現実だ。それが分かっただけでも収穫……と思っておこう。

 とにかく、今僕は危機にある。下手したら命を落とす。気付けば戦場のど真ん中、じゃなかっただけ幸運なんだろう。
 そういえば弓矢が飛んでいた。流石に流れ弾(矢)に殺されるなんて洒落にならない。何か遮蔽物を探さないと。

 川の淵には自然が茂っている。その先にはヒト一人よりも大きな木があった。あそこなら戦場から死角になりそうだ。
 背の高い草に紛れながら匍匐前進。寝起きスウェットのままだけど、汚れてもいいよね。スウェットだし。

 あともう少し。頑張るんだ圭!

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