ソラ色の風に抱かれて 3
「その通り、ただの石さ」
「えっ?」
「でもねそれは、ソラが石だと思えば石にもなるし、ドラゴンの卵だと思えばドラゴンの卵にもなるんだよ」
マリーは愛おし気にドラゴンの卵を撫でた。
「ただの石をドラゴンの卵にする。それが生誕の儀を成功させるのに必要なことなのさ」
ソラは混乱した。祖母がなにを自分に何を伝えたいのか、理解できなかったからだ。
「なに、儀式を始めればソラにもきっとわかるよ」
マリーはそう言うのだが、ソラはいまいち釈然としないまま朝食を終えたのであった。