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フリークスバスター
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フリークスバスター 13


安堵とも、悔しさともいえない呻き声を漏らしてリーフォルは氷刀の咒を解除する。朝露のように消える氷刀と同じく緊張を無くしたように座り込むリーフォルに麒麟は満足げに頷く。

「妾の血は馴染んだようじゃな。感謝しろ。妾が血を与えなかったら、おぬしは、そのまま死んでおったのじゃぞ」
「・・・・誰が、するか」

麒麟の少女にそっぽを向き、リーフォルは立ち上がる。
手足の感覚を確かめ、折れたはずの骨がくっついていることに驚きながらも、リーフォルは感謝することなく一つの疑問を尋ねた。

「そういや鳥はどうした?」
「ん? 鳥? ああ、『紅鳳(ホンファン)』のことか。火鼠がいたのでな。下がらせた。妾達は同属で上位の存在には従うことしか出来んからな」
「鳳凰よりも位階(レベル)が高いのかよ。あの鼠」
「高いぞ。しかも桁外れにな。昼行灯で通っておるが、本気を出せば四海竜王の長男ともやりあえると妾は思っておる」
「マジかよ」


世界の海を浮かべる竜王と互角に叩ける鼠は、すでに鼠じゃねぇだろと思いつつ、リーフォルは丘から眼下を――そこに村があったとは思えない焦土と化した大地を見つめる。両手を合わせ暫く黙祷した後、麒麟の少女を見返す。

「なんじゃ?」
「お前、これからどうするんだ?」
「ほほぅ」

リーフォルの口調から悟ったのか麒麟の少女はニヤリと笑い、しかし揶揄することなく問いに答えた。

「我が忌々しい姉君から王位を奪還する。その為の戦力集めとしてフリークスの集落を廻ろうと思っておる」
「俺も連れて行け」
「嫌じゃ」

即答。しかしリーフォルは予想通りの答えに頷く。

「そしたら、俺は後ろをついていくだけだ」
「・・・・・・・・・・・おぬし、バカか? わしらが徒歩だと誰が言った? 空を飛ぶものをどうやって追いかける?」
「根性でだ」

断言に麒麟の少女は呆れ顔で眉をひそめる。その顔にリーフォルは真剣に言った。

「お前、この村がなんで襲撃されたか知ってるか?」
「知らん、が、おそらくここら辺の霊獣の住処を汚したとか、そういう理由ではないか?」
「そんな理由でお前がいう鳳凰すらも超える化物鼠が来ると思うか? そんなの下っ端がやればいいだろ」
「む・・・・」

麒麟の少女の口が閉じる。俺はにっと口元を歪ませながら言う。

「それは今の状況に不利なる・・・とは言わないが、何らかの影響があるからきたんだろう。俺がいたら、その何かを見つけられるかもしれない。どうだ、メリットになるだろ?」

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