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フリークスバスター
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フリークスバスター 2

朱雀が両翼をあわせて炎を凝縮、巨大な火球を作り上げる。熱波だけで草木が炎上し、凍気が吹き消す。二人の間合が映画のコマ落としのように消失し、そして二人の炎と氷が激突する。
大地が軋ませるような衝撃波が吹き荒れる、筈だった。

「朱雀。現地人には手を出すなといっておいただろう」

触れたものを一瞬で氷結する魔剣と、灼熱の大火を真正面から受け止め、弾き返した金髪の幼女。金髪の間からは鹿のような―――いや、あれは麒麟の角か。
幼い、まだ十歳を幾つか超えたぐらいの少女がリーフォルを見る。叡智というよりもまだ幼い知的な顔が笑みを浮かべた。

「悪いな、現地人」
「麒麟か。獣の王様がこんな場所にいるなんてな」
「まだ王様は我じゃない。父上――いや、今は姉上がなっておる。暫くしたら我が奪い返してやるがのぅ」

くくく、と悪そうに笑う麒麟の少女にリーフォルは勘付く。こんな辺境の土地に麒麟ほどの大物フリークスがいるわけ。そして明らかに衰弱した朱雀。

「クーデターか」
「おっと。人は知らぬほうが良いということもある。おぬしも面倒事に関わりたくは無いであろう?」

麒麟の少女はリーフォルがいいそうになった言葉を制す。幼いながらも堂に入った仕草。さすがはフリークスの王の家系と頷く。

「ああ、そうだな」

「おっと、ちょっと待て。我らは少し食糧が欲しかった所だった。何、そう警戒せぬとも城から僅かな備蓄はもってきておる。ちゃんと買ってやるから、それゆえ、我らをそなたの村に連れて行け」
「やだ」
「やだとな!?」

リーフォルの断言に麒麟が驚き、朱雀が敵意を向ける。

「麒麟が人を食わないフリークスってのは有名だが、それでも村に連れて行くのとは話が違う。あんな何もない田舎でも育った村なんだ」

右手に蒼白い凍気が宿り、再び凍結の魔剣が生まれる。その切っ先を麒麟の少女へと向けて半目で睨む。

「前言撤回するから出て行け。別段、他の所で迷惑をかけるなら、どうでも・・・・・・」

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