龍戦記〜龍の力を受けし者〜 6
「おう、すまんすまん」
「ああ、悪い」
二人はマスターの指示を聞くと、走って二階の自分達の部屋に戻っていった。
「ん?いつの間に…」
彼等がいなくなった後、マスターの目に不思議な光景が映った。それは壁だった、そこには綺麗に手入れされた剣が三本並べてきちんとかけられていた。
次の日の朝─
カフェの扉が開かれた、入って来たのはこの町の町長。まだ40代と町長にしては若い方の男だ。マスターはお辞儀をすると、そのままラスティンとオルクスの部屋まで案内した。
「君達が噂の戦士たちかね?」
「おうその通りだ!!」
町長の問いに、ラスティンは躊躇なくそう答えた。もう一つのベッドからはまだ寝息が聞こえる。
「大体察しはつくと思いますが、今日は頼みが会って来ました」
「ん?面倒な事はごめんだぜ?」
「グルーの殲滅を─」
「断る、悪いな」
オルクスが起き上がり即答した。答えは早かったが、まだ眠い目を擦ってボーッとした様子だ。
「しかし、この仕事は君達の様な屈強な戦士でないとこなせないのだ、他にいないんだ」
「おうあんた、一つ質問させてくれい」
「何でしょう?」
「この仕事、西の国の作戦の一部になってるよな?」
ラスティンの鋭い質問に、町長は暫く口を閉ざしてしまう。町長は少し唸ると口を開いた。
「確かに“西連合軍”の作戦の一部です、間接的に“東同盟軍”へダメージを与える事になるでしょう、しかし、グルーの殲滅は人々を危険から救う、大きな意味があるのです」
「う〜ん、確かにな…オルクスはどう─」
「断る、悪いな」