PiPi's World 投稿小説

龍戦記〜龍の力を受けし者〜
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 40
 42
の最後へ

龍戦記〜龍の力を受けし者〜 42



四日後、東国本拠地─

東国の生き残りの者たちは完全に包囲されていた。ラズィ率いる“緑の部隊”がバリアを駆使し奮戦していたが、敵のダチョウが戦場に現われた途端、戦況はますます悪くなっていった。

「北からの連絡なしか…、マリアの援軍は絶望的だな。仕方あるまい、鎖を外せ!!黒竜よ、デッドカントリーの反逆者たちを蹴散らすのだ!!」
 プレントが敵を指差し大声で叫ぶと、突風と共に黒き竜が巨大な堀から飛び出した。黒竜は一般兵を吹き飛ばしながらダチョウへ突っ込むと、その足で二機のダチョウを掴む。
 黒竜に捕まったダチョウは緑のバリアで装甲を強化するが、それは次第にヒビ割れ、空中でダチョウ諸共握り潰された。

「フハハハハ!!見たか反逆者どもよ、残った者もあのダチョウと同じ末路を歩むのだ!!」
黒竜は空中で静止すると雄叫びをあげ、再びデッドカントリーの軍に向かい急降下し…、そのまま空に上がってくる事はなかった。

「フハハハ…、何だ!!どうして黒竜は上がって来ない!!」
「大変ですプレント様、これを!!」

プレントは兵士から無愛想な態度で双眼鏡を受け取ると、それを黒竜の落下地点に向けた。

「馬鹿な…、誰だあの者は!!」
プレントが見たのは信じがたい光景であった。それは一人の少年が黒竜の頭に刺さった短剣を抜く瞬間だった。少年はそれを抜くとこっちを振り向く。プレントは少年と目が合うと双眼鏡を外し、息を飲んだ。

「まさかあの少年が黒竜を?新手がいたとは…、あの少年がこっちに向かってくる。直ちにラズィを向かわせろ!!」
双眼鏡を渡した兵士はキレのいい返事をすると、他の兵達のもとへ入っていった。

「前にドラゴンを一人で倒した少年の噂を聞いた事があったが、実在したとでも言うのか…」
プレントはもう一度双眼鏡を覗きこむ。するとそこには短剣と鉄塊を構えた少年の姿があった。驚いたプレントは、双眼鏡を投げ捨てると反射的に己の剣を抜く。

「い、いつの間にここまで!!」
少年の姿は肉眼で確認できる程近くにあった。心なしか、少年の周りの風景が陽炎でゆらゆらしているように見える。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す