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龍戦記〜龍の力を受けし者〜
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龍戦記〜龍の力を受けし者〜 38

「ここに住むのにそんな条件はいらんよ。それより君は知っているのかね?彼女の病の事を」
「病、ですか?」
レオンが不思議そうな顔をすると、老人は溜め息をついて話しだす。

「グルー感染症じゃ。森の中にいるグルーの中には、罪人に魔法をかけられ動きだした屍と、グルーに食われてグルーになってしまった者がおる。後者をグルー感染症という。彼女は食われたわけではないが、何故かグルー感染症にかかっておる。このまま侵攻すれば彼女は…」
「どうしたらいいジジィ!!」
「じ、ジジィ?まぁ落ち着け、ここに来たのが不幸中の幸いじゃ。ここは時がゆっくりと進む場所、わしの時の魔法がかけられた場所じゃ。病の侵攻もゆっくりとなる、彼女が手遅れになるまえに“黄金の薬草”をとってまいれ」
「黄金の薬草はどこにあるんだ!!」
「すまん、それが分からんのじゃ…言い伝えでは“塔に構える大天使がその薬草を持つ”と言われている。それ以外手掛かりがないのじゃ」
「馬を貸してくれ、カミルを頼んだ」
「うむ、行くのだな…」
レオンは老人の顔を見ると頷き、小屋の外の馬を借りてどこかへ駆けて行く。
「カミルに会えて旅が終わったと思ったのによ!!」
馬上で叫ぶレオン。馬を走らせる彼の姿はどんどん小さくなっていく。恋人の病を治す為、彼の旅はまだ続くのだった…


その頃東国の会議室では…
「では西国の残存兵力及び、東国のマリア将軍の軍で第三勢力“シンナ”への牽制を。残りの東国全軍でデッドカントリー裁きをくだす事で決定しました。王様方は国へ戻り、戦の支度をお願いします」
プレントの言葉が終わると国々の王達は会議室を出ていく。部屋に残ったプレントの後ろから、マリアが声を掛ける。プレントは目を瞑って俯いていた。

「プレント様?」
「すまないマリア将軍、この役は君にしか務まらないのだ」
「何だそんな事でしたか。この大役は必ず果たしてみせますよ」
「すまない…」
「そんなぁやめてくださいよ。あ、プレゼントの手帳ありがとうございます、丁度手帳がきれてて助かりました」
「それは良かった。マリア…」
「はい」
「死ぬなよ」
「何言ってるんですか、嫌がられてもまた会いに来ますからね?…それじゃいってきます」
マリアはプレントの頬にキスをするとその部屋を出ていった。部屋に残されたプレントは下唇を噛み、小刻みに震えてた…

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