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龍戦記〜龍の力を受けし者〜
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龍戦記〜龍の力を受けし者〜 36

フェブルウスは腹を押さえて口から血を流している。彼の刀は力の入らない手から滑り落ちた。それでも彼はレオンの姿を探そうとした、しかしレオンの姿は見当たらない。フェブルウスは地面に落ちた刀に手を置くと、大きな声で叫んだ。まるで満月に遠吠えする狼のように…


「この部屋か」
レオンは店主に貰った紙を手掛りに、その部屋の前にいた。彼は軽くノックをするとそのまま中へ入っていく。

「誰ですか?」
聞き覚えのある声だった、でもハッキリ思い出せない。確かなのは声の主が窓から外を眺めている少女という事ぐらいだろう。

「お迎えにあがりました、姫様」
レオンは膝をつき頭を下げるとゆっくり顔を上げた。こちらへ振り返った少女の顔は知っている顔だった。

「カミル!!」
「レオン!?」
レオンは少年の姿に戻り少女に駆け寄ると、手を握り締めた。彼はその手を引っ張り部屋を出ようとしたが、彼女はそれを拒む。

「ダメなのレオン!!私がここにいないと国の皆が─」
「その心配はしなくて大丈夫だ、俺を信じろカミル!!」
カミルはレオンの目を見ると、レオンとつないでいる手に力を入れて頷いた。二人は走る、宮廷の見張りをレオンが一蹴し、森のグルーをレオンが斬り払った。
 
そして二人は一軒の山小屋に辿り着く。中では一人の老人が椅子に座って本を読んでいた。体力を失い息切れをしているカミルの為、レオンは宿を貸してくれと老人に頼んでみた。

「かまわんよ。こんな夜中に外を歩いていちゃ、怪物に襲われて明日の朝には骨だけになっとるよ」
洒落にならない事を笑顔で老人は言って、泊めてもらえる事になった。
二人は二階の屋根裏部屋にあがると、窓の側に座り、月を見上げた。カミルの靴が森を走るのに適してなかったのか、足に血が滲んでいた。

「レオン?お父様たちは、国の人々は本当に大丈夫なんですか?」
「西の国の事、知らないみたいだな…」
「何かあったの?」
「西国は…消えたんだ」

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